とあるメイドの恋事情【尾関光希】 (ページ17)

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17話ページ17

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一方的で、かなり高圧的な態度だったはず

たとえ好意を抱いていたとしても、あれは間違いなく好感度ダウン。私の推測だと、尾関様の中での私は、無関係どころか嫌な思い出の一つだ

なのに

なんで今、私は抱きしめられている

遡ること30分前

私は結局小岩井さんの圧と、使用人としての業務を果たせという不本意なお叱りにより、人生で2度目である警察庁総務課へ

『……』

秀「そんな睨まないでよ…ごめんって」

『目的は？』

秀「えっとぉ、なんのことかな」

白々しい。嘘をつくのが苦手なのに慣れないことを無理して

煮え切らない態度に少しいらついてしまった

『態々お昼を遅らせてまで成し遂げたい事って何ですか！？』

「僕がお願いしたんです」

『……あなたですか』

尾「会いたかったです。Aさん」

さようならしたはずの、もう終わったはずの人

なのに、なんで？

なんでまだ諦めてないんだ

なんでそんな愛おしそうな目をしている

尾「場所を変えましょう」

人気のない控え室？私にはよく分からないが、まぁ入っていいんだろう部屋に案内される

プライバシー保護の為だと鍵をかけ、一言一句聞き漏らさない為だと向かい合わせではなく隣に座られた。顔が近い

『それで、なんでしょうか』

尾「Aさんの話を、もう一度家に帰って改めて考えました」

『素晴らしい御検討です』

尾「考えれば考えるほど、やっぱり忘れられません」

『なんでやねん』

尾「関西出身ですか？」

『違います』

先に言っておくが、私は百人に一人の美少女でも、世界中の男を惑わす魔性の女でもない

あくまで一般市民で、どこにでもいる普通の人間
世間の間隔も狂っているとも思えない

そんな私が逆の立場だったら、

橋渡しの先輩に利用された挙句、悩み相談を受け、想い人には自分の恋心を否定され、そのまま帰られたなんてそれこそもみ消したい夜

二度とそんな男になんて関わるかと、苛立ちも生まれる

尾「しかし、言われた以上むやみに連絡もできない。
何度もトーク履歴を眺めて物思いにふけていました」

『他にすることがあったでしょうに』

尾「そこで気づいたんです！あなたの本当の気持ちに。

これを見てください」

『…見せるだけなのに手を重ねる必要あります？』

尾「しっかり見てほしくて」

『意味がわかりません』

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