とあるメイドの恋事情【尾関光希】2 (ページ3)

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53話ページ3

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善財さんに兄さんの恋路を邪魔するよう交渉して、了解してくれたはずが、兄さんは結局今日も池江さんとデートに行く予定がある

義理チョコとして渡された市販のチョコは職場の人全員とお揃いで、それとは別に用意された赤い袋に入れてあるチョコは、そんな訳ないにしてもやっぱり期待してしまう

それでも当たり前に渡してくれる気配はなく、あっという間に帰る時間。定時になってしまった

秀「お疲れ様でした。」

池「お疲れ様です。」

パソコンから目を離さずサッと挨拶が終わり、

やっぱりかぁと項垂れていると

尾「先輩。」

秀「ん？」

隣にぬっと尾関が現れた

尾「Aさんからチョコ預かってませんか」

秀「預かってるわけないだろ。」

尾「バレンタインだから何かアクションがあるはず。だから3日前から連絡を待っているんですが…」

秀「お前のその自信はどっから来るんだよ」

尾「何か身の危険があったんじゃないんですか！？」

秀「ちゃんと今朝も業務を全うしておりましたぁー！」

あーだこーだ言い合ってると池江さんも部屋から出てくる。

その手にはあの赤い袋が握られていた。

やっぱり…ないよなぁ

秀「はぁ…………あれ、戻ってくる…？！」

角を曲がる直前立ち止まると、こちらを振り返り駆け足で戻ってきた。

狼狽えながらも髪とスーツを整えてピシッと待つ

池「あの、、係長。」

秀「な、なに？」

池「あの………

来客の方がお見えになっています」

秀「へ？」

池「あのメイドさんです。」

尾「Aさん！？」

『……！？』

その角から現れたのはいつものクラシックメイド服ではなくピンクと白のワンピースに髪を下ろした姿のA

まさか俺と尾関2人がセットでいたとは思っていなかったようで、足を止めて目を見開いた

秀「なん「Aさん！！！」

『あ、ちょっ、止まっ、怖い怖いこわい！！』

一瞬でも視界に入ったかと思うとマッハでそちらに方向転換し、一応職場だからか早歩きの大股で距離を詰める

彼女もあまりの圧に廊下の端に寄って手を突き出している

その両手をまた両手で包み、折角のバリアを乗り越え顔を鼻が付きそうなほど近づける尾関。仰け反って顔を逸らすA

傍から見て誰がこの2人を両思いと思うだろう

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