とあるメイドの恋事情【尾関光希】2 (ページ16)

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66話ページ16

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ガチャっと扉が開く音がして、急いで向かうと博文様がお帰りになられていた

が

『お帰りなさいま「…くそぉぉぉ！！」はっ？え！？』

たちまち外に飛び出してお庭に寝っ転がりじたばたと
ついには膝を抱えてうずくまり出した

と思えば坊ちゃんも同じく悲しそうな顔をして反対側に寝っ転がって暴れ始めていた

どうやら博文様は、善財様が倒れているのを発見しただけでなく応急処置まで施したものの、病院スタッフ、患者の皆さんに犯人と疑われてしまっていた

あまりの人望の無さが露呈したことで挫折を味わったことのない博文様のプライドはズタボロ。さらに院長にまでその人望の無さが伝わり、副院長に限りなく遠ざかってしまったのだ

坊ちゃんは池江様に情けない男だとフラれたらしい

忙しいお二人だこと

『……毛布、良かったらお使いください』

明日になれば元に戻ってるといいけど

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『博文様が行きたくない、と…！？』

楠「秀作さんと傷心した者同士結束を組んで、なんとか今日は乗り切ろうと出勤なさいましたけど、相当堪えてらっしゃいます…」

『なんてこと…！今年はやっぱり厄年ね…』

朝から布団に蹲り(何なら昨夜は秀作様のお部屋でお泊まりしたのだと)嫌だ嫌だとごねていたようで。

あの仕事が大好き、いや仕事を通した自分が大好きな博文様が行きたくないだなんて。この家で泣き言なんて坊ちゃん以外に聞いたことがない。

コンコン

手「クリーニング屋でーす！！」

小「…よし、どうだ？」

楠「OKだと思います！」

昨日のコートに付着した芝生をコロコロで取り除いて渡す準備を。目敏い手毛綱様は衣服に付いてる臭いや物で勝手に推理して、北沢家の事情に踏み込みたがる。しかもその推理が高確率で当たるから恐ろしい

手「まいど。博文さん、災難でしたね」

楠「でも、晴れて容疑は無実は証明されましたから！」

手「え？知らないの？院長からの評価が急落したの」

どうやらここに来る前に浜野谷院長のお宅に寄ってくる際、お喋り好きのお手伝いさんに色々教わっていたらしい。全く困った人だ

楠「でも…博文様何も悪いことしてないのに、理不尽すぎませんか…！」

手「一時は副院長の有力候補だったみたいなんですけどねぇ」

小「もう他に手はないのか？」

手「いや、完全に無くなった訳じゃないんですけどねぇ」

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