とあるメイドの恋事情【尾関光希】2 (ページ14)

今日:1 hit、昨日:7 hit、合計:13,126 hit

64話ページ14

.

一週間空いただけなのに、この部屋が恋しくて堪らなかった。万が一のため置いておいた宿泊用セットがもう役立つなんて

俺に報いるためにいつもは断る事も精一杯応えようとしている

正直そこまで気にしてなかったけど、とことん利用しよう

『……混浴がお詫びになるのでしょうか』

尾「これ以上ないほど幸せです」

『……よかったです…』

ぶくぶくとお湯に口がつくまで沈んでいる彼女

俺の膝の間に収まり、できる限り肌に触れないよう小さく縮こまっている。まぁひとり暮らし用の湯船だから無理があるが

色つきの入浴剤を入れてバスタオル巻いて現れたのは驚いた。申し訳ないが逆にこれはこれでいい。グッときますAさん

『……あの、…』

尾「……ん、？なんですか？」

『……からだを……洗いたいので、目を瞑ってください』

尾「……おれが『いらないので！はやく！』

渋々言う通りにして、包んでいた腕も解放する。耳にざばっと音が聞こえて、しばらくするとシャワーが鳴る

髪を泡立てて、ボディソープのポンプを押して、これはタオルで体を撫でているのか

聴覚が敏感になっているからか、職業柄か、音で行動を想像してしまい、欲が思わず掻き立てられる

ダメだダメだ。俺も我慢のできる男にならなければ

尾「………」

少しだけ

本人に気づかれないようにそっと目を開ける

お湯が降り、纏っていた泡たちがしなやかな曲線をなぞるように流れていく。

肩、腰に、太ももに、つま先

無意識にごくりと生唾を飲み込んだ

全てが終わったようで、水を含んだ重たいタオルをもう一度巻くと、湯船にまた戻る。急いで俺も目をつむり、彼女を迎え入れた

『…あの、やっぱり、、私も何か返したいです！だから、尾関さまが、何かしてくれた時、私も一度、尾関さまの要望を聞くのは、どうでしょう』

尾「……な、るほど。理解しました」

『だから、、今日の、分です』

後ろ姿なら見えないからと目を開けていたままだった

突然彼女は俺の方を向き、驚きで固まっている俺の頬に手を添える

ちう

そんな可愛らしい音と共に、頬に柔らかい感触

尾「……すみません」

『え、……わっ！』

先程言いつけを破ったこと、自分を誠実な人と信じきってること、この後の行動

全てに謝りながら、俺は彼女を抱えて寝室に向かうのだった

.