とあるメイドの恋事情【尾関光希】2 (ページ13)

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63話ページ13

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『ごめんなさい…』

先輩の相談事を聞いたあと、彼女を家まで送る途中。もうすぐで到着しそうなところで足が止まった。

服を握りしめ、俯いて黙ってしまったので、離れた距離を詰めて顔を覗き込む

尾「どうかしたんですか？」

『……坊ちゃんの手前とは言え、貴方との交際を、、真っ向から否定してしまって…』

尾「それは致し方ないです。隠すための嘘ですし」

『…でも、非情なのは確かです。』

小さく縮こまって泣き出しそうに

北沢家第一メイドの、堂々と勇ましい彼女とは、よそに魅せる顔とは違う。

中身はこんなにも健気で愛おしい人

手荒だが強く腕を引き、大股の早歩きで彼女の家まで向かう。いつもは歩幅を合わせて出来るだけ長く彼女との帰り道の会話を楽しむのだが

急いでこの愛しい生物を閉じ込めなくては

ガチャ

追人無し。扉を閉めた瞬間すぐに施錠。チェーンロック。ドアスコープを覗いて不審者がいないことを確認

尾「……ふぅ」

『あ、、あの、！やっぱり、何かお詫びします！いや、お詫びというか、、幻滅したのなら…っ……言う通りにします』

俺の咄嗟の行動に怒っていると勘違いした彼女は、さらに眉を下げて俯いた

尾「……そんな悲しい顔をしないでください」

『……っだって、！もし逆の立場なら…わたし……』

尾「俺が付き合うはずないって言ったら、悲しい？」

『…………つらいです…』

両手で頬を包み込むと、上から手のひらを重ねてくれた

俺の言ったことを想像したからか、本当に辛そうに痛い表情で俯いて

尾「俺はAさんが俺のことを想ってくれるという事実だけで幸せなんです」

『そんなの…割に合いません。私は別に神様じゃないのに、、崇められてて…』

尾「存在が素晴らしい、じゃ駄目？」

『だめ』

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