とあるメイドの恋事情【尾関光希】2 (ページ12)

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62話ページ12

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凛々しい眉毛をさらに上げ、スーツの乱れが見られない辺りからとても仕事終わりには思えない。

そしてそのきっちりさとはある意味不釣り合いな大きな花束がより目立つ

尾「Aさんを想って選びました」

『ご立派で。どうぞお持ち帰りください』

尾「それはAさんの代わりとしたこの花達を部屋に飾って愛でても良いということですか？」

『直ちに回収いたします』

あっぶないあぶない。これだから大幅な解釈違いは恐ろしいんだ。

私に手渡し出来たので満足そうな顔をした尾関様はカウンター席で坊ちゃんと私の隣に座った。

だからお前たちはどうして私を挟んだ並びになるんだ。なんだ。仲悪いのか

秀「君たちもう付き合っちゃえばいいのに。Aもこんだけアプローチしてくる人なかなか居なかったでしょ？」

『秀作様……まさかお忘れですか？』

秀「何が？」

『楠木が就任する前、つまり退職なさった四番目のメイドのお方。何故お辞めになったかの理由です』

秀「えっ、なんかミスして父さんをまた怒らせたからとかじゃないの？」

『勿論それもありますが、、実の所、博文様の部下である若手のお医者様と、関係を持ってしまったらしいんです』

尾「ほう…。」

『お酒の勢いでホイホイと北沢家の事をこと細かくお相手に話してしまったらしくて。使用人としての役目を果たせなかったという事で、解雇宣告を』

秀「知らなかったぁ……」

『その件以降、我々の中で暗黙の了解となっていったのです。"使用人、主人又は関係者との恋情するべからず"』

執事メイドは、秘密主義が絶対。それを守れなかったとしたら

ご主人様のことだからどうせ、「そんなことあったか？」なんて忘れてるだろうけど

『だから私たちが付き合うことは、……有り得ないんです』

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