＊gr ページ48
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第一印象は弱そうな奴。
隣の家に引越してきた幼き日の思い出はそれやった。
背が低くて泣き虫で要領が悪い奴やなぁと学校に通うようになってから改めて感じた。幸い人当たりはいいからかいじめられることは無かったが、"仲良くね"と親に言われた言葉を律儀に守り歳下のAは俺の後ろをひよこのように着いて回っていた。
それを拒むことはせず、不可侵で距離を保って居ればふとクラスメイトに言われた言葉が身体を重くさせた。
「俺、Aちゃんの事好きなんやけど」って、顔を赤くさせた名前も覚えてへん奴。わざわざ俺に報告する理由は、と聞けば「お前ら仲ええやん」と。俺に着いてくるのをただ黙認してるだけでそんな、……とそこまで考えた所で俺は言葉を飲み込んだ。自分の選択を誤ったとは今でも思わない。
「俺、Aと将来結婚の約束してるんや」
幼い時の思考なんて、結婚という言葉が最上級だった。
目の前の男がAに好きだと伝えたら俺の後ろを着いて回らなくなる。俺は鬱陶しく無くていい。それでええやん、とはならんやった。身体の重みは取れんくって、漸くついて出たのは嘘。
Aがおらん毎日はどれだけ退屈やろう。
たまにぽつりと話しかければ花のように笑う彼奴が脳裏に浮かんで消えてくれなかった。おもちゃを取られても泣くのを我慢して家の庭で蹲っている姿も見てきたし、熱が出ていたのに親に心配をかけたくなくて登校していた日もあった。
思い返したAは第一印象の時に抱いたまんまで、不器用な奴。
それでも他の誰にも渡したくないと思ってしまった。
急に優しくし始めた俺に対してもAは驚きながらも嬉しそうだった。グルッペン、なんてついには呼び捨てにして、やっぱり着いて回って。気づけば着いて回るのはAでは無くて俺の方になっていったのはいつからだったか。長い時間を共に過ごしても進学を機にバラバラになっても心残りやった。
連絡を頻繁に取るが『過保護すぎ！』『煩い』と社会人にもなると反抗され、ついには音沙汰が無くなった。
今まで彼奴の外堀を固めに固めた結果ウザがられて着拒なんて耐えられな過ぎる。頭を抱えていればマンションのチャイムが鳴ってゆっくりとした足取りで玄関に向かう。
「……はい」
『隣に引っ越してきた者です』
「……は？」
聞馴染みのある、凛とした幼馴染の声が響いた。
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まる(プロフ) - 久々にこの手の類を見たくなって、極道に始まり、距離バグと脅威入手…団子侍様の独特で丁寧な小説を読んでしまうと、上質すぎて中々他のお話へ飛べませんw 楽しいお話をたっぷり読めて嬉しいです！今後も応援しております…！ (2023年4月10日 8時) (
レス) id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
団子侍(プロフ) - 冬野さん» 完結してから一番乗りの超絶早いコメントありがとうございます！冬野様には何度もコメントを頂いて本当に嬉しかったです！最後までお付き合いありがとうございました！ (2022年8月19日 1時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)
冬野(プロフ) - わぁ〜！番外編までお疲れ様でした。すごく好きです。めちゃくちゃ好きです。ありがとうございました。大好きです。(語彙を失う) (2022年8月19日 1時) (レス) @page50 id: 017b983cf1 (このIDを非表示/違反報告)
団子侍(プロフ) - みひろさん» コメント＆ここまで読んでくださって本当にありがとうございます！正しく全員分の心の内だったりを細かく書いて最後に終わりたいな〜と思っております！完結はしましたがどうぞ最後までお付き合い頂けると嬉しいです♪ (2022年8月15日 14時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)
団子侍(プロフ) - 冬野さん» 冬野様 ご丁寧に、また思いの籠ったコメント頂き本当にありがとうございます。色んな方の反応やお声に支えられて無事完結できてホッとしております。今後とも何か作品をあげましたら是非宜しくお願いします！ (2022年8月15日 14時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：団子侍
| 作成日時：2022年1月30日 13時
