プロンプトvsイグニス 2 ページ8
それを見てしまってから、勝手に意識してしまって夜の写真の選別の時は同じような事がないかとひやひやする自分と、本当のところを知りたい自分がいて一人女々しく考え込んでしまう。
そんな自分にため息を漏らすなんてことは常だった。
「あー、えーっと…」
「…今日はいつもと様子がちがうな、話してみるのも一つの手だとおもうが?」
自分で話しかけておいて、一体俺は何を言おうとしたのだろう。
「いいのいいの!なんか忘れちゃったしさ、思い出したら言う」
「そうか?一人で背負い込むことはないんだぞ」
「うん、ありがとイグニス」
今俺何言おうとしたか忘れたけど、たぶん「Aの事どう思ってる?」とかそういったことを聞こうとしたのだと思う。
俺が出会ったのは高校の時だった。2年のクラス替えの時、席が隣になって俺がカメラをいじっていたら何を写してるのか見せてほしいと言われたのがきっかけ。
ノクトもたまに何を撮っているのか気にして覗き込んでくる事があるけど、彼以外でこうして自分に興味を示してくれる人は少ないし、そういう人は大事にしたいと思う。
彼を好きだなあと思ったきっかけは、彼の笑顔だった。友達の笑顔は見ていて気持ちがいいし何となくほっこりするし好きだった。それを写真に収めるのも楽しみの一つだったからそれに従って彼の写真を一枚とっていつものようにアルバムにしまおうとしていた時だった。
彼の写真になった途端、淀みなく動いていた手がぴたりと止まり長い間それを眺めていた。くったくのない笑みはこれほど綺麗なものだっただろうか。写真に閉じ込めているこの笑みを自分が与えることができるだろうかとうっすらと思いだしたのもこのころからだった。
それからは彼の事しか考えれなくなってきて、けれどただただ胸に秘めるだけだった。
ため息をついて、盗むようにイグニスを見る。
もしもイグニスがAの事が好きだとして。俺は彼に勝てるだろうか。
勝ち負けの問題じゃないのはわかってる。だけど、あまりにも手ごわすぎる。
でも…
気付かれないようにバックミラーで後ろの様子を伺う。先ほど見たときの同じように穏やかに眠っている。
笑顔もそうだけど寝てる姿もなんかほっとする。
俺は自然と笑顔になった。
やっぱり、Aの事好きだな、なんて思いながら。
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作者名:オチャネコ | 作成日時:2019年10月22日 12時