プロンプト(旅路) ページ2
いつものようにイグニスがハンドルを握り、ハンターとしての依頼をこなしに行こうと炎天下の中生ぬるい風を受けながらレガリアその漆黒のボディを輝させていた。
運転席にはイグニス、助手席には窮屈そうに本を読んでいるグラディオラス、後部座席には右からノクティス、俺、プロンプトという並びで座っている。
グラディオラスには悪いのだが、彼が座らないとこうも広々車内だったのかと実感していた。ここ数日は資金稼ぎのためにハンター業ばかりをやっていて眠るのはもっぱらキャンプであり体のあちこちが痛みだしていた。
「ねえA、これ見てよ」
隣に座るプロンプトが何かを見せたいのかカメラの画面をこちらに向けてくる。光の反射のせいで何も見えなかったため、体のだるさを言い訳に彼に寄り掛かるように画面を見るとどこで、いつの間に取ったのか動物の写真がそこには映っていた。何も言わずそれをただ眺めていると彼の白い指が次々に「次へ」をタップしていく。
そのうちどんどん瞼が落ちてくるのを感じたがそれでも画面を見ていると突然耳をつんざくスリップ音と大きな音と同時に体に衝撃が走った。
「すまない!」
そう耳に届いたような気がしたが、俺は目の前にある光景に眠気さえも吹っ飛んで、瞬きを激しくくり返す。
やわらかい何かが自分の口をふさぎ目の前には美しい青い瞳がこちらを覗き込んでいる。
「おい、大丈夫か?!」
その瞳をただのぞき込んでいると肩をつかまれ、後ろに引かれる。
するとチュッといった音が鳴り覗き込んでいたものが離れ視界が広がった。
「おいって!」
体を反転させると焦ったような顔をしているノクティスに肩をゆすられるが、突然の事で動転しているのかそれとも今さっきまでの状況を整理しようとしているのか頭があまりよく動かない。けれどとりあえずうなずけば「ビビらせんな」と安堵のため息をつく。
それを見て自分もため息をつくと後ろからわななくような声が聞こえて振り返る。
「お、俺…今…キ、キ…!」
彼はその整っている唇に手を当て、もごもごする姿に俺の頭の回路が突然に今まで起きていたことの処理をはじめそして回路が完全につながるとすべてを理解した。
口をふさいでいたやわらかいものは…。
前席でにやにやしているグラディオの事を責める気になれないほど俺は熱い顔を抑えてうつむいたのだった。
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作者名:オチャネコ | 作成日時:2019年10月22日 12時