毒杯に沈む黒月 (ページ12)

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「どうして君は僕とこんなに似てるのかな…」

「さあ、なんでかな…？」

俺も少しは考えたことあるけど…。

何で似てるのかなって。

だけど、偶然以外ってありえるかな…

血もつながってないしさ。

「…難しい質問だったね」

カーテンを開けると、窓には満月が映し出されていた。

その月明かりに包まれている彼を眺めていると「さっさと来なよ」とベッドに誘われ素直に従い、今は一枚しかない毛布を分け合い横たわっている。

「寒い？」

ほんの一瞬彼が身震いするのが見えて、問いかける。

「…すこしね、僕の部屋はいつも空調が整ってるんだけど、使用人の部屋は寒かったんだ…」

「何だ？自慢話か？」

「…そう聞こえたなら謝るよ。でも今度からはもう少し暖かくするように君の大嫌いな執事長に言っておく」

「…そりゃあ助かるな…」

執事長の名前があがったことに俺は苦笑いする。

毛布を二人で使っているのもあるだろうけど、確かに少し冷えるときもあったからもし改善されるなら嬉しいかな。

「昼間のことだけど…」

「…うん」

彼は喋りながら小さく丸くなる。

「驚いただろう？」

「……驚いた」

突然過ぎて理解が追いつかない程度には驚いた。

だって、おまえそんな素振り一度も見せたことなかっただろう。

「僕は本気だよ…、本気で兄たちを…」

消え入りそうな声に表情を見ると眉を潜め、閉じた瞼に涙をためていた。

「許せない…、許せないんだ…どうしても…」

涙している彼に掛ける言葉が見つからなかった。

俺は両親を殺された経験なんてない。

だけど、身近な人に、それも兄弟に殺されただなんて想像もできないくらい彼の心は傷つき、その傷は未だに癒えることを知らない。

身体を沿わせるように近づけ、彼の頭をそっと撫でた。