〈YG〉周辺視野フル活用 (ページ6)

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YG side

キョトン顔の彼女にスマホを目の前に差し出す

慌ててポケットを叩いてるところを見ると、
落としたことさえ気づいてなかったようだ

変に疑われたくなくて落としてったと伝えると

「え、あ、わざわざすいません！ありがとうございます！」

すごい勢いで謝罪と感謝の言葉を繰り返して頭を下げまくるもんだから

つい笑ってしまった

すると彼女も俺を見て笑い出して

思ってた笑顔と違くて

その可愛らしさに拍子抜けした

「あ、すいません、つい釣られてしまって…」

不覚にも顔に出てしまった

そういう意味じゃないのに

YG「あー、いや全然良いんだけど…」

目に入った襟を見て、そういえばと

YG「あ、あとここ。」

この際なら言ってしまおうって彼女の首元を指さす

「あ。」

やっぱり気づいてなかったんだ

YG「ずっと気になってた」

「え。
　…………あ、
　
　だからずっとこっち見てたんですか？」

いきなりだなぁ、と内心びくつきながら

いかにも思ったことが口から出てしまった、って感じで口を手で塞いでいる彼女がまた面白くて

なんてこともないように格好つけて平静を装う

YG「まあ、それもあるけど」

「も？」

YG「あー、なんかキョロキョロしてるし鬼の形相みたいな顔してたから面白いなーって」

ほんとは目が綺麗だったからなんて
引かれそうで言えない

まあ言ったことは間違ってないし

そんなこと考えてる俺とは裏腹に

彼女は鬼の形相と言われたことを気にして眉を下げていて

ほんとに色々な表情をするんだなと

また笑ってしまった

「恥ずかしい…」

笑われて赤面してる

面白くて

かわいい

YG「そういえば、あんたはなんでこっち見てた」

純粋に気になった

「え」

「いやーなんかこっち見られてるな〜っていうのと、髪が結構派手？だからですかね？」

なんだ

アホみたいだけど何か期待してた

何かってなんなのか説明できないけど

ただ電車の席が目の前だっただけ、
ただスマホ届けただけ、

ちょっとだけ縁があった

それだけなのに

何かを感じずにはいられなくて

こじつけにも程がある

YG「あの、携帯かして」