# 13 ¦ Hokuto side ページ13
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昨日、久しぶりに朝の目覚めが良かった。
Aさんに会えるからだ。
でもAさんが来るはずの時間になっても来なかった。
閉店時間になっても店を閉めずに少し待っていた。
それでもAさんの姿は見れなかった。
居酒屋で会ったとき、強引に話し掛けてしまったから嫌われてしまったのではないか、と気が気じゃなかった。
閉店作業中にふと外を見ると、俯きながら歩くAさんの姿が見えて、特段と甘いカフェラテを急いで作って後を追い掛けた。
ビックリした表情で振り返るAさんは
とても目がまん丸で可愛かった。
お店に来なかった理由は寝坊したからだそうで
その理由もまた可愛い。
明日は頑張って起きると宣言を受け
俺は彼女が部屋に入るのを見届けた。
夜に可愛い女の子を一人で帰したAさんの同僚を許せる気にはならなかったけど、俺が見送れたからまあ良しとする。
そして今日、またAさんは現れなかった。
また寝坊でもしたのか、昨日の俺の行動が嫌だったのか。
考えてもキリが無い。
今日は客が引くのも早かったため、
閉店時間よりも早く店を閉めた。
その次の日も、その次の次の日も、
Aさんとは会えなかった。
会えない間、俺は夜の営業のために
オリジナルカクテルを試作していた。
試作中もAさんの笑顔が浮かんで
気付けば甘い甘いカクテルばかりになっていた。
「 あ〜 甘すぎ 」
独り言が店内に響く。
チョコレートなどの甘いものは大好き。
でもお酒はハイボールだとか焼酎の方が好き。
でもAさんの喜ぶ顔が見たくて
甘いお酒を作ってみる。
Aさんがお酒を飲むのかは分からないけど、
もし飲むのならきっと甘いものが好きだと思って。
普段そんなに飲まないからか、甘すぎるせいか、
いつもより酔いが回るのが早かった。
試作は一旦中止。
後片付けを終え身支度をして店の鍵を閉める。
もう夜も更け込み、感傷に浸るにはピッタリな時間。
気付けばAさんの部屋の前に来てしまっていた。
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作者名：しろ | 作成日時：2023年9月16日 3時
