episode 20 ページ20
-
気付けば朝になっていた。
隣で眠る大我くんがあまりにも綺麗で見とれてしまう。
大我くんの服を着て、大我くんの匂いに包まれる。
こんな幸せあってもいいのだろうか。
でも、付き合ってもないのに体を許してしまった、
と形だけの後悔をしてみる。
推しと一夜を共に出来るなんて私には夢のようで
後悔よりも喜びが勝ってしまう、最低オンナ。
もちろん、ワンナイトじゃなくて
段階を踏まえての方が嬉しいに決まってるけど、
相手が推しとなれば話は別。
でも、やっぱり好きになってしまった以上
このままで終わりたくない気持ちもあって。
「 さっきから何見てんのぉ 」
『 あ、ごめんなさい、起こしちゃった？ 』
「 綺麗な寝顔に見惚れてた？ 」
『 はい、否定できません 』
「 あ〜幸せ 」
『 え？幸せですか？ 』
「 うん、最高に幸せ 」
幸せ、なんて好きでもない相手に言わないでよ。
ズルすぎる。勘違いしちゃうじゃん。
昨日大我くんも言ってたのに、
男だけじゃなくて女も勘違いしちゃいますから。
「 俺、午後から仕事だけど合鍵渡すから好きな時間に帰って良いからね 」
『 えっあっ、あっ、合鍵？！ 』
「 うん、戸締りしないとだから 」
『 大我くんが仕事行く前に帰りますよ！ 』
「 いつでも来て欲しいから渡す 」
『 えぇ…え、いつでも？また会ってくれるんですか？ 』
「 一晩だけなわけないでしょ？ 」
これはその、え、パニックパニック。
合鍵？合鍵ってあの合鍵だよね？私が知ってる合鍵ってあれしかないんだけど、あの合鍵だよね？
「 迷惑？ 」
『 いや、迷惑とかそんな、逆に嫌じゃないですか？ 』
「 俺がそうして欲しいの 」
『 じゃ、じゃあお言葉に甘えて… 』
よく分からないこの関係。
大我くんのことがどんどん分からなくなっていく。
-
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 378人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しろ | 作成日時：2023年9月14日 1時
