episode 14 ページ14
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私は甘めのお酒を頼んだ。
酔わないために、アルコール度数は低めで。
お互い無言のまま時が進むと、突然大我くんの口が開いた。
「 今日、樹に誘われたんだよね？ 」
『 はい。今から来れるかって言われて 』
「 ごめんね、俺が残っちゃって 」
『 そんな！また会えて嬉しいです 』
「 優しいね、Aちゃんは 」
クスッと笑いながら何故か寂しそうな顔をする大我くん。
私何か言葉を間違えしまったかな、頭を働かせて考える。
「 今日は樹が誘ったから来たの？ 」
『 …ん？ 』
「 もし、俺が誘ったら来てくれた？ 」
『 それは……多分、来ます 』
「 ふふ、そっか 」
分かんないよ、そんなの。
気まずくて断る可能性だってあるし、
会いたくて来る可能性もある。
自分でも分からない。
だって推しだよ？推しから誘われるなんて想像もしない。
『 大我くんは、私が来たの迷惑ですか？ 』
私の悪い癖が発動。
考えるより先に言葉が出てしまった。
こんなのこと聞く方が迷惑なのに。
「 迷惑じゃないよ。寧ろラッキーって思った 」
『 ふふ、ラッキーですか？ 』
「 俺、ずっと会いたかったよ、Aちゃんに 」
『 ……えっ？！ 』
会いたかったなんて、嘘だ。
だって、連絡もなかったし、
だって、推しが、ヲタクのことなんて、
「 ごめん、あんなことした奴と会いたくなかったよね 」
『 …え、？ 』
「 その… キス 」
『 あっ、』
何となく、触れないようにしていたけど
覚えていてくれて少し嬉しかった。
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作者名：しろ | 作成日時：2023年9月14日 1時
