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36話 ページ37

「お姉さん、名前なんていうの?」

「山田花子」

「嘘つけ」

「山田花子に謝れ」

貰った本を大事そうに抱えながら
名前を訊ねる青年

「俺は工藤新一、帝丹高校1年。」

「へぇ」

「普通今の流れは名乗るだろ」

「へぇ」

高校1年生、若いなぁ
私の一番最初の高校生1年生は
果たして何年前だったかと思う

「それとも、名乗れない理由でも?」

急に疑うような目を向ける工藤君

ただの店長と客が名乗る必要あるか?
と思いつつ口を開く

「(人1)Aです」

「本名?」

「山田花子です」

「本名なんだな」

何でも疑ってかかるのかこの子は

高校生なのに
しっかりしてるんだかしてないんだか

「ねぇ工藤君、左腕大丈夫?」

「左腕?」

「なんか庇いながら動いてる気がしたから」

それらしい理由をつけて
左腕に違和感が無いのか聞いてみる

「すげぇよく気づいたなAさん」

「(人1)さん凄いでしょ」

「Aさん意外誰も気付かなかったのに」

「もういいわ」

こういうもんか高校生
距離感は皆こうなのか?

「この店にある物、大体がおまじないがかかった物なんだけど、工藤君そういうの信じる?」

「おまじない...?」

あ、急に胡散臭い人を見る目になった
とことん遠慮ない奴だな
大人を馬鹿にしやがって

「その後ろの杖持ってみ」

工藤君の後ろの棚に指をさす
25cm程度の何の変哲もない棒切れ

彼は言われた通り素直に手に持つ


「この棒がなんかあるのか?」

「それで左腕、軽くぽんぽん叩いてみ」

それになんの意味があるんだという顔をしながら
持っていた本をカウンターに静かに置き
右手に杖を持って左腕を叩いた


すると噛み付いていた呪霊に杖が直撃し
跡形もなく祓われた

「あ、れ、痛くねぇ」

「他に異常は?」

「いやなんともねぇけど」

「良かったね」


杖を元の場所に置き
右手で熱心に左腕を触ったり掴んだりしている

「Aさん何したんだ...?」

「私は何にもしてないけど」

「だってこれ、ほんとに軽く叩いただけだぞ俺」

「おまじないだっての」

未だに信じられない顔をしてる工藤君は
私が何かをしたと疑っている

だが腕が軽くなって少しは嬉しかったんだろう
彼はまた両腕に本を抱え直し
腕時計を見て用事でも思い出したのか
「また来るから!」
という言葉を残して店を後にした

来なくていいよ

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の! - 続きが気になります!更新楽しみにしてます…! (5月15日 0時) (レス) @page50 id: 12a63fcd20 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - すごく面白くて更新楽しみにしてます😆応援してます💪✨ (5月14日 20時) (レス) id: 8d8bcc3d80 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鮫のこ | 作成日時:2023年5月7日 0時

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