人生二回戦目は求めてない。【名探偵コナン】

28話 ページ29

緊張していた車内の空気が和らいだ

持ち主に銃を返し
シートに体重をかけ直す


すると隣の男が煙草を取り出した
銘柄を観ると見覚えのあるロゴ
ラキストかと思ったがよく見ると名前が違う


「煙草は苦手か？」


煙草を凝視していたから
嫌がっていると受け取ったのだろう


「いーえ愛煙家です、1本ください」


てめぇのせいで煙草買いに行けなかったんだよ
とは言わずに素直に強請る


2人でシガーライターで火をつけ
窓を開け煙草を吸う


さっきまで拳銃向けあってたのに呑気なものだ


何口か吸っていると
男の方が先に口を開く


「スコッチの事は上手く誤魔化せた」


「凄いですね、どうやって？」


「知りたいか？」


「やっぱいいです」


余計なことは知らない方がいい
ただでさえ巻き込まれてるのに


「昨日、別の死体を使い俺が殺したように見せかけた」


「話聞いてる？」


聞いてない事をべらべらと話しだす


内容は
私が助けた日、諸伏君は上手く逃げた事になったらしい

そして昨日、その逃げた諸伏君の居場所をつきとめ射殺

誤って胸ポケットのスマホごと撃ち抜いた為
証拠は残っていない

死体は予め殺す予定だった人間とすり替え
偽装がバレない様、施したらしい

そんなこと出来るのか
あと殺す予定の人間ってなんだ


「凄いですね色々と」


「FBIだからな」


そうだったわ
そんなこと言ってたわこの人


「今更だが、自己紹介がまだだったな。」


「あ、いやいいです名乗らなくて」


「俺はFBI捜査官の赤井秀一だ」


「都合の良い耳だよ全く」


名前まで知ったら関わりが増えそうで嫌だったのに
そんな私の考えを知ってか知らずか
男はさも当然のように名乗る

相手にペースに流されてるのが
どうも気に食わない


「(人1)A、嫌いなものはGPSです」


最低な名乗り方だが
あのGPSも間違いなくこの男に着けられたのだ
だから今日私に接触出来たんだろう
だが着けられた側は文句の1つや2つ言ってやりたい


「スコッチは無事か？」


「酔い潰れて今頃すやすや寝てますよ」


「ははっ、そうか」


堅物かと思っていたが
意外とフランクな話し方だ


「A、もうひとつ聞きたいことがある」


「距離感外国人か」


成人済みの大人が
ほぼ初対面の上に
異性の下の名前を呼び捨ては普通なのか
そう思ってると

イギリス育ちらしい

教えるな教えるな
ほいほい情報流すな


イギリス育ちでアメリカのFBIなら
この距離感はもうツッコんだら負けな気がした

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