22話 ページ23
浴室から戻ってきた諸伏君と入れ替わるように
シャワーを浴びに行った
自由に寛いでくれていいと言ったが
多分ソファから動いてないだろう
服を脱いでいる時に
パチッという音と共に何か小さなものが
床に転がった
「なんだこれ」
黒い小さい物体
後でいいかと思い
手早くシャワーを終わらせ
半乾きの髪の毛を纏めて
ルームウェアを着る
浴室からリビングに戻ると
予想通り諸伏君はソファから動かず
テレビを流し見していた
1人分開けて隣に腰を下ろすと
私に視線を向ける
そして私も思い出したかのように
先程の物体を取り出す
「諸伏君、これなんだか分かる?」
掌に乗せて彼の近くまで腕を伸ばした
すると諸伏君の目が見開かれる
「GPS...!これをどこで!?」
「服脱いでたら転がり落ちた」
「誰に付けられたかわかる!?」
「いやわかんな...」
絶対赤井秀一だ
あの時ドサマギで着けたんだな
怖すぎるしっかりしすぎている
「分かったけど、大丈夫。腹立つから壊しとこ。」
手でも潰せるそれを
呪力で消し済みにしてやった
「本当に大丈夫なのか...?」
「大丈夫、諸伏君に危険はないよ。」
あっても返り討ちにする
何とか納得してくれたのか
彼はまたソファに背を預けた
「(人1)さん」
「何?」
「ただ黙ってここに匿ってもらうのは嫌なんだ、だから、俺に出来ることはしたい。
今俺は自由が利かない身なのは分かってるんだけど、少しでも(人1)さんに恩返しがしたいんだ。」
「えーいいよ大丈夫」
見返りが欲しくて助けた訳ではないし
貸しを作ったつもりもない
気にするなという気持ちを込めて返したのだが
諸伏君も引き下がってくれなかった
これじゃあ埒が明かないと思い
妥協策を考える
「諸伏君って、家事できる?」
「家事は得意な方だよ」
「よし決めた」
一人暮らし歴トータル数十年の私も
家事は特に難なく出来るのだが
何せ家が広い
あと一人分の自炊の面倒臭さといったらない
「料理は?」
「一通りならなんでも」
「最高ありがとう」
こうして料理メインで
家事を頼むことにした
役目を貰った諸伏君は
どこか嬉しそうにしている
律儀な奴だな
そしてその日は
諸伏君にゲストルームで寝てもらうことにした
私も自室に行きベッドに潜った
明日は色々買い物が必要だなと思いながら
気づけば既に夢の中だった
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の! - 続きが気になります!更新楽しみにしてます…! (5月15日 0時) (レス) @page50 id: 12a63fcd20 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - すごく面白くて更新楽しみにしてます😆応援してます💪✨ (5月14日 20時) (レス) id: 8d8bcc3d80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鮫のこ | 作成日時:2023年5月7日 0時