第40話 ページ42
「ジャック、お前を信用した俺が馬鹿だった!」
そう悔しげに怒鳴るバルボッサの声が聞こえたかと思うと、その直後に剣と剣がぶつかり合う音が洞窟中に響き渡った。Aはジャックとバルボッサが戦っているのを見ていたが、すぐに目線を逸らさなければいけなくなった。というのも、他の海賊達を始末したウィルがいきなり斬りかかってきたからだった。
「ウィル!」
「ミス・ブラックウッド、君はバルボッサの味方か?」
Aは危機一髪で剣を引き抜き、ウィルの攻撃をかわした。ポートロイヤルが襲撃された夜、バルボッサの下で働くと取引してしまったからには約束は守らなければ。そう思って頷くと、とウィルは申し訳なさそうな顔をしながらも剣を握る手に力を込めた。
「ならば君は僕の敵だ!」
もうジャックとバルボッサの事を気にしている暇などなかった。なんたってこのウィルは恐ろしく腕が立つのだ。Aも剣の扱いは上手い方ではあったが、若いウィルの活力に満ちた大胆な攻撃には戸惑ってしまった。それでも負けるものかと腕を必死に動かす。
ジャックとバルボッサ、Aとウィル。二組の一騎打ちが火花を散らしながら繰り広げられる。両方とも降参するつもりなど全くない。
だがお互い疲れてきた頃、Aは得意の銃を使う事にした。ウィルの突きをかわした一瞬の隙に、銃を取り出して発砲する。__だがウィルは無傷だった。
「外れたな。」
そうウィルが言うと、Aは狡猾な笑みを浮かべた。
「私、狙った的は絶対に外さないのよ。絶対に。」
Aがそう言い放った瞬間、ウィルの後ろに積んであった火薬がいきなり爆発した。最初から狙いはそこだったのだ。瞬く間に煙が立ち込めて、なんとかウィルが水へ飛び込む。Aはニヤリと笑うと、その場から立ち去ろうとした。だが振り返ってみると、そこには槍を手にしたエリザベスが立っていた。
「これはコルセットよりも痛いわよ、A。」
まずい、と呟く暇もなくAはエリザベスに槍の強烈な一撃を浴びさせられた。地面に叩きつけられ、痛みに呻きながら体勢を立て直すと、目に飛び込んできたのはタッグを組んだウィルとエリザベスの姿だった。Aの青色の瞳にサッと焦りの色が走る。1対2の圧倒的な不利な戦いが始まった。
そして数分後。
カラン、と音を立ててAの手から剣が落ちた。絶体絶命だと思ったその瞬間、
バルボッサがエリザベスに銃を突きつけた。
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バーツ(プロフ) - 初めまして。今回の作品で改めてパイレーツ・オブ・カリビアンが好きになりました。とても素敵なお話でした。これからも主人公たちの冒険を見れることを心より願っています。 (2023年2月5日 16時) (レス) id: fdda18a68f (このIDを非表示/違反報告)
の〜ん(プロフ) - 初めまして。一昨日金曜ロードショーで映画を見て、また再熱しました!作品の方ですが、読み始めると止まらないくらいとっても面白かったです!素敵な作品に出会えてよかったなと思いました!本当にありがとうございました! (2023年1月22日 23時) (レス) id: b67a47aa93 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - はじめまして!この素晴らしい作品に出会えたことにとても感動しました。とても面白かったです。最高!! (2022年9月12日 13時) (レス) @page36 id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
oceane(プロフ) - つじさん» 初めまして。最後まで読んでくださった上にそう言って頂けて、感謝の気持ちでいっぱいです...!こちらこそ、暖かいお言葉ありがとうございます。 (2021年9月12日 22時) (レス) id: 8c5911a62b (このIDを非表示/違反報告)
つじ(プロフ) - 初めまして、公開から何年もたった今、こうしてこの作品の小説が読めることに感動しました。とても面白かったです、本当にありがとうございました。 (2021年9月12日 3時) (レス) id: 87b029d90b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:oceane | 作成日時:2018年12月19日 21時