第34話 ページ36
「いいか、パーレイなんて言う奴は海の底に突き落としてやる!」
ピンテルに怒鳴られるインスターセプター号の捕虜達。その中にはジャックとエリザベスの姿もあった。そして爆発音が響き、インターセプター号が跡形もなく破壊された。ウィル、と呟いたエリザベスがバルボッサに襲いかかる。
「この血も涙もないやつ!」
バルボッサは彼女の手首をぐいっと捻ると、意地の悪い笑みを浮かべて口を開いた。
「あれほどもてなしてやったのに逃げるとはな。今度はお前がもてなす番だ!」
そう言い放ちエリザベスを海賊達の方へ突き飛ばした、その時。
目の前に、ある人物が現れた。
「__彼女を自由にしろ!」
ブラックパール号の手すりに立ち、覚悟を決めたように真面目な顔で立つ青年。その瞬間、エリザベスの目が輝いた。
「ウィル!」
そう、ウィルは死んでいなかった。爆発する寸前にインターセプター号から脱出していたのだ!ウィルはそのまま銃を手にすると、バルボッサに真っ直ぐ突きつけた。
「彼女を自由にしろ。」
「俺達は死ねないんだぞ。どうするつもりだ?」
バルボッサがそう言うと、ウィルは再び手すりに飛び乗って銃を自らの喉に当てた。
「ああ。でも僕は死ねる!」
そんなウィルを見て、バルボッサは目を細めた。
「お前、誰だ?」
「こいつは誰でもない。俺の叔母のそのまたいとこの__」
すぐにジャックが間に入りバルボッサの前でまくし立てる。だが、その時ウィルが再び口を開いた。
「僕の名前はウィル・ターナー!ビル・ターナーの一人息子だ。」
それを聞いた全員が目を丸くし、辺りが騒めく。Aも言葉を失っていた。なんで気づかなかったんだろう。ポートロイヤルの鍛冶屋の青年が、呪いを解く鍵だったなんて!
「分かったら言う通りにしろ。でないと引き金を引いて海の藻屑となって消えてやる!」
「条件を言いたまえ、ターナー君。」
バルボッサが応じると、ウィルはエリザベスを指した。
「彼女を自由にしろ。」
「それは聞いた。他には?」
ジャックがウィルに目配せをした。するとぎこちない口調でウィルが言う。
「それと、乗組員達に危害を加えるな!」
Aはそんなウィルを見ながら、ため息をついた。ヤワだ、ヤワすぎる。こんな交渉の仕方がずる賢いバルボッサに通用するわけがない。Aが呆れる一方、バルボッサはほくそ笑みながら口を開いた。
「__承知した。」
311人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
バーツ(プロフ) - 初めまして。今回の作品で改めてパイレーツ・オブ・カリビアンが好きになりました。とても素敵なお話でした。これからも主人公たちの冒険を見れることを心より願っています。 (2023年2月5日 16時) (レス) id: fdda18a68f (このIDを非表示/違反報告)
の〜ん(プロフ) - 初めまして。一昨日金曜ロードショーで映画を見て、また再熱しました!作品の方ですが、読み始めると止まらないくらいとっても面白かったです!素敵な作品に出会えてよかったなと思いました!本当にありがとうございました! (2023年1月22日 23時) (レス) id: b67a47aa93 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - はじめまして!この素晴らしい作品に出会えたことにとても感動しました。とても面白かったです。最高!! (2022年9月12日 13時) (レス) @page36 id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
oceane(プロフ) - つじさん» 初めまして。最後まで読んでくださった上にそう言って頂けて、感謝の気持ちでいっぱいです...!こちらこそ、暖かいお言葉ありがとうございます。 (2021年9月12日 22時) (レス) id: 8c5911a62b (このIDを非表示/違反報告)
つじ(プロフ) - 初めまして、公開から何年もたった今、こうしてこの作品の小説が読めることに感動しました。とても面白かったです、本当にありがとうございました。 (2021年9月12日 3時) (レス) id: 87b029d90b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:oceane | 作成日時:2018年12月19日 21時