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第25話 ページ27

その後、Aはブラックパール号を降りてから港を転々とした事をバルボッサに話した。


「カリブ海を彷徨っていたら、ちょうどポートロイヤルに住んでいた妹に再会出来て。そこで私はブラックウッド社の貿易業を再開した。それでお金を儲けて、ここに住んできたの。」


Aの酒の弱さは本当だった。ワインをグラス一杯飲んだだけでバルボッサの言う通り、ずっと口を割りやすくなったのだ。Aは自分の話を終えると、バルボッサに聞いた。


「・・・・・・この船で、私は何をすれば?」


その質問にバルボッサは一瞬、鼻で笑った。そして船長室を見渡しながら口を開く。


「とりあえず、あのターナーの娘の世話でもしておけ。」

「ターナーの娘?」

「ああ。あの女の血で俺達の呪いが解ける。」


Aはやはり混乱した。エリザベスは嘘をついていて、バルボッサは騙されている。だが、Aはこのまま言わないで置こうと心に決めた。この男は卑怯な裏切り者。自分から望んで手助けをする真似などしたくない。


「そう。それは良かったわね。」


ひどく冷ややかな声で答えると、Aは立ち上がった。もうこれ以上ここには居たくない。大嫌いだ、この男も、このワインも。そう罵りながら扉の方へ向かう。するとバルボッサが彼女を引き止める為に後に続いた。

だがバルボッサが口を開く前に、Aがいきなり振り返った。ふわり、と美しい黒髪が宙を舞う。そして次の瞬間、バルボッサの目に入ったのは嫌悪感に満ちた眼差しで自分の事を睨みつける青色の目だった。


「でも、私がこの船に戻ったからといって勘違いしないで。」


Aが冷たい声で話し始める。次に口を開いた時、彼女の声は少し震えていた。


「_____貴方は私の幸せを奪ったのよ。
 決して、許さない。」


そう刺々しく放ったAの海色の瞳にはうっすらと涙が浮かんでいるようにも思えた。そんな彼女を見下ろしながら、バルボッサが言う。


「結構だ、ブラックウッド嬢。」


ブラックウッド嬢、と急に距離を取った呼び方をされて戸惑ったのか、Aは困惑気味に目の前の男を見つめた。そして混乱したまま、取り敢えず背後のドアを押して部屋から逃げるように出て行く。

そして、一人残されたバルボッサはドアを見つめながら勝気な笑みを浮かべた。死の島に着くまでまだ時間はたっぷりある、そう心の中で呟きながら再びワインを口に運んだ。


_____それまでに必ず、

あの黒真珠の女を落としてやる。

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バーツ(プロフ) - 初めまして。今回の作品で改めてパイレーツ・オブ・カリビアンが好きになりました。とても素敵なお話でした。これからも主人公たちの冒険を見れることを心より願っています。 (2023年2月5日 16時) (レス) id: fdda18a68f (このIDを非表示/違反報告)
の〜ん(プロフ) - 初めまして。一昨日金曜ロードショーで映画を見て、また再熱しました!作品の方ですが、読み始めると止まらないくらいとっても面白かったです!素敵な作品に出会えてよかったなと思いました!本当にありがとうございました! (2023年1月22日 23時) (レス) id: b67a47aa93 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - はじめまして!この素晴らしい作品に出会えたことにとても感動しました。とても面白かったです。最高!! (2022年9月12日 13時) (レス) @page36 id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
oceane(プロフ) - つじさん» 初めまして。最後まで読んでくださった上にそう言って頂けて、感謝の気持ちでいっぱいです...!こちらこそ、暖かいお言葉ありがとうございます。 (2021年9月12日 22時) (レス) id: 8c5911a62b (このIDを非表示/違反報告)
つじ(プロフ) - 初めまして、公開から何年もたった今、こうしてこの作品の小説が読めることに感動しました。とても面白かったです、本当にありがとうございました。 (2021年9月12日 3時) (レス) id: 87b029d90b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:oceane | 作成日時:2018年12月19日 21時

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