第12話 ページ14
一方、ジャックの方も心底驚いていた。何故なら、偶然立ち寄った港でもう会えるとも思っていなかった人物が目の前に立っていたからだった。
「A___Aなのか?」
驚きを隠せずに彼女の名前を口にすると、彼女と目が合う。
そしてすぐに彼女の瞳に引き込まれた。海を切り取ったような色の、ずっと見ていたいぐらい綺麗な瞳。やっぱり、変わってなかった。10年間、彼女の事を忘れた事なんてなかった。10年間、彼女を自分から奪った男への憎しみだけで生きてきたようなものだった。
そんな彼女が、今、自分の目の前に。自分の手が届くところに。
ジャックはAの方に手を伸ばそうとした。
だがその時、喉元に剣が突きつけられた。
「立て!その女性から離れろ。」
ノリントン提督の声だった。いつの間にか、エリザベスとジャックとAの三人の周りには海兵達が大勢集まっていた。そしてエリザベスの無事を確認したスワン総督は、ジャックの事を指差して、言った。
「この男を撃て!」
Aが思わず待って、と叫びそうになった瞬間、エリザベスが間に入った。
「待ってください、お父様!この人は私の命の恩人です!」
「そうか。なら感謝しなければならないな。」
そう言うとノリントンはしぶしぶ剣を収め、ジャックに手を差し出した。ジャックは躊躇ったのち、手を握り返した。その瞬間、ノリントンはジャックの手首を掴んでシャツの袖をぐいっと上げた。するとPの字をかたどった焼印が現れた。
「なるほど。海賊か。」
そう言ったノリントンがシャツをさらに上げると、雀の刺青が露わになった。ノリントンは鼻で笑った。
「おや、伝説の海賊、ジャック・スパロウだったか。」
「キャプテン。キャプテン・ジャック・スパロウだ。」
ジャックがすぐさま訂正する。Aはそんな彼を見て、変わっていないな、と心の中で呟いた。
ノリントンはその後、衛兵の一人に渡されたジャックの持ち物に目を通した。
「北をささない羅針盤、銃は一発だけ。お前は最低の海賊だな。」
"銃は一発だけ"?Aは思わず聞き返しそうになった。もしかして、ジャックはまだ___まだ諦めていないのだろうか?10年前の出来事の復讐のために・・・?
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バーツ(プロフ) - 初めまして。今回の作品で改めてパイレーツ・オブ・カリビアンが好きになりました。とても素敵なお話でした。これからも主人公たちの冒険を見れることを心より願っています。 (2023年2月5日 16時) (レス) id: fdda18a68f (このIDを非表示/違反報告)
の〜ん(プロフ) - 初めまして。一昨日金曜ロードショーで映画を見て、また再熱しました!作品の方ですが、読み始めると止まらないくらいとっても面白かったです!素敵な作品に出会えてよかったなと思いました!本当にありがとうございました! (2023年1月22日 23時) (レス) id: b67a47aa93 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - はじめまして!この素晴らしい作品に出会えたことにとても感動しました。とても面白かったです。最高!! (2022年9月12日 13時) (レス) @page36 id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
oceane(プロフ) - つじさん» 初めまして。最後まで読んでくださった上にそう言って頂けて、感謝の気持ちでいっぱいです...!こちらこそ、暖かいお言葉ありがとうございます。 (2021年9月12日 22時) (レス) id: 8c5911a62b (このIDを非表示/違反報告)
つじ(プロフ) - 初めまして、公開から何年もたった今、こうしてこの作品の小説が読めることに感動しました。とても面白かったです、本当にありがとうございました。 (2021年9月12日 3時) (レス) id: 87b029d90b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:oceane | 作成日時:2018年12月19日 21時