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■気晴らし ページ34
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治療を拒否した
意外にも阿部ちゃんはその拒否を受け入れてくれた
でものばせるのは1週間だけって
もうムリなのに
こんな治療したって
退院出来るかも分からない
治療している方が体調が悪くなるのに
…なんで？
ふらっとロビーまで散歩
色んな人を観察したり
大きな水槽の前のソファに座って
ただ泳ぐ金魚を眺める
いいなぁお前らは自由に泳いでいられて
たとえ水槽の中でも元気に動き回れているって
だけで俺よりもずっと自由だな
金魚に悩みとかあんのかな？
なんてよく分からないことまで考え出してしまう
でもそんな外と繋がっている
この慌しいロビーにいた方が
ひとりぼっちの病室にいるよりも
少しだけ治療の事を忘れられる気がした
でもここにずっといる訳にもいかない
なんとなく歩く
歩くと行っても院内なんだけど
それでいつもは行かない場所にいたんだ
産科
まぁ縁が無い場所だから、ほぼ来たことは無い
なんでここに行き着いたんだろう
生まれたばかりの赤ちゃんが
ガラス張りの部屋に沢山並んでいる
ふにふにと動いている赤ちゃんを
ついつい見てしまう
「ちっちゃっ」
それぞれ泣いていたり、眠っていたり、
むにむにとちっちゃな手を動かしていたり
そんな赤ちゃんを見ていて
すっかり治療の事なんて忘れて
素直に可愛いなって気持ちで
いっぱいになっていた
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作者名：まめり | 作成日時：2023年7月15日 13時
