OCEAN

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『なぁ、』



隣にいた流星さんはなぜかあたしの後ろに回る。
何を…する気だろう。



「ん？」


『ここって昔人魚おったらしいで』



ほら、と向こうの方を指すから首をそっちに傾けてみると、何だかお墓のような小さなものが立っていた。
人魚…の、墓？



好奇心をそそられて思わず駆け寄ってみる。



【 漁師 キナイ 人魚のロミアと共にここに眠る 】



「わ…本当なのこれ」



お墓には藁で作られたような小さな帽子と、鱗のようなものが何枚か重ねて置かれている。
もう何年も前のものみたいで、どちらも色褪せてボロボロだ。



「おとぎばなしみたい…」


『…ほんまにな』



流星さん、ちょっとだけ…悲しそう。
何か思い入れでもあるのかな。
キナイさんとロミアさん、幸せになってたらいいな…



本当のものか分からないけど。



『種族越えての愛って相当やったんやろうな』


「そうだね」


『俺は…』


「流星さん、向こうに行けるみたい。あたしちょっと行ってくる」



抜け穴のような…そこがどこかに続いてる気がする。
無性にそそられて仕方ない。



『え、ちょっ、俺も行くわ』

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