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玖歩目 ページ9

あぁ、薬研藤四郎。君はまるで籠の鳥。恨みに囚われ、“家族”の最期の願いすらも思い出せないんだ。せめて生きる意味を思い出して欲しいのに。

あぁ、ヒトの身を得た意味を忘れないで欲しいんだ。これは、大切な人に触れるため。『愛』に触れるため。

神の末席に座す君達は、人の子の願いによって力を振るう。自らを振るい、大切な主を愛し、過ごした過去を守るため。

思い出さなければ前へは進めないよ。思い出さなければ我を失うよ。

「ね、やげんとうしろう? キミの家族は最期の最期に、何をキミに言ったの?」

「さイ、ご…皆、俺っちに『ありがとう』って『気に病むな』って『生きてくれ』って…!!」

あぁそうなんだよ。彼の家族は優しかった。優しすぎた。皆、薬研藤四郎が好きだった。愛していた。それだから彼を守ったんだ。

「じゃあそんな彼らの気持ちを忘れて、闇に堕ちるのは……酷いと思わない?」

薬研藤四郎は口をつぐんだ。光が戻り始めた彼の瞳の中では、光と闇が入り混じり彼の心の支配権を争っていた。

僕は、ゆっくりと薬研藤四郎に言った。

「僕はキミがのぞむなら、キミを僕の本丸に向かい入れ、キミの家族たちの分までキミを幸せにするよ。でも、むりやりにはしない。この意味は、わかるよね。……選んで、やげんとうしろう。キミの好きな方を」

彼は、ゆっくりと僕の目を見つめた。その瞳にはもう、狂気の気配はない。

「なぁ大将……こんな俺っちを旦那達、兄弟の分まで──」



──幸せに、してれるか…ッ!!──



答えは最初から決まってるよ、薬研藤四郎。大丈夫。僕は満面の笑顔でこう答えた。

「もちろん、かんげいするよ!」



──これから宜しく、やげんとうしろう!──

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霧憑 幻(プロフ) - 写しの本さん» 日替わりから此方を読んでいる者です。 ちょくちょく入っている歌詞とか詩のような表現とても素敵です! 応援してます。 無理をせず、更新頑張ってください! (2016年12月13日 21時) (レス) id: a919ed2021 (このIDを非表示/違反報告)
つなれな(-.-)(プロフ) - 順位おめでとうございます!これから来る刀剣のヒントとか聞きたいです((更新頑張って下さい('ω')ノ (2016年4月4日 20時) (レス) id: 9150f75282 (このIDを非表示/違反報告)
写しの本(プロフ) - アイカさん» ……大変失礼致しました。 (2016年3月9日 7時) (レス) id: 43efac2d9a (このIDを非表示/違反報告)
写しの本(プロフ) - アイカさん» ああ……本編ではまだ書いていませんでしたが、主人公は女です。れっきとした。なので[ピーーー]とか付いてませんよ(真顔)←← (2016年3月9日 7時) (レス) id: 43efac2d9a (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - 主人公は男の子ですか?女の子ですか? (2016年3月9日 7時) (レス) id: 0cd967d7be (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:写しの本 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/occasional3/  
作成日時:2016年3月7日 17時

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