肆拾壱歩目 ページ41
「僕は今剣、義経公の守り刀だったんですよ。今度は主様を護りますね」
そう言ってニコリと笑む“太刀”。僕は身長差が悔しいな、なんて思いながら彼の顔を見上げた。
「……今剣？ お前、短刀じゃなかったか？」
そう、薬研兄さんは溢す。……二度見。彼は、元々僕と同じ短刀？ 太刀なのに？
「？ よくわかんないけど、君はいまのつるぎって言うんだね？ いまのつるぎ、いまのつるぎ……うん！ 覚えた！ これから宜しくね、僕は夜だよ！」
主様は笑う。芽生える嫉妬、そして羨望。……何故？
「これは……凄い力です。この姿なら、何でも出来そうな気がする」
……解った。強さに嫉妬しているんだ、僕は。彼と僕は元々殆ど変わらない力量な筈だったのに、ここでの彼は太刀。短刀である僕より火力も体力もある。
「今剣、だったか？ お前は短刀ではなかったのか？ 俺の見た資料では、お前は子天狗のような恰好をしていた」
「確かに何故でしょう……僕は、守り刀だったのに」
へしさんが今剣に問い掛ける。……僕は何となく主様を振り返った。
あ、虎の皆と遊んでる。あれ？ ちゃんと皆、警戒してるよね？
「んー？ なんでもいいけどさ、そろそろホンジン？ ボス？ 戦じゃないのー？」
主様がふと、傍らの山姥さんの布を引く。……虎達が僕の周りに集まってきた。
本陣、か。
「僕は如何しているのが一番いいですか？ 主様の傍で待機でしょうか……？」
「……」
僕は顔を顰める。但し誰にも見えないように。
主様を新参者に盗られたような、そんな考え。それは流石に理不尽すぎるよね。
「んー、じゃあいまのつるぎは僕といて！ ごこたいが僕らをまもってくれるから、安心してミトリゲイコ？ してね！」
主様に名前をいきなり呼ばれ、驚く。でもそれと同時に歓喜する。頼って貰えた、任せて頂けた……！
「はい、主様！ その木偶の坊にも主様にも、傷一つ付けさせません！ 安心して下さいね！」
満面の笑みを見せて、法螺貝の音を待った。
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霧憑 幻(プロフ) - 写しの本さん» 日替わりから此方を読んでいる者です。 ちょくちょく入っている歌詞とか詩のような表現とても素敵です！ 応援してます。 無理をせず、更新頑張ってください！ (2016年12月13日 21時) (
レス) id: a919ed2021 (このIDを非表示/違反報告)
つなれな(-.-)(プロフ) - 順位おめでとうございます！これから来る刀剣のヒントとか聞きたいです((更新頑張って下さい('ω')ﾉ (2016年4月4日 20時) (レス) id: 9150f75282 (このIDを非表示/違反報告)
写しの本(プロフ) - アイカさん» ……大変失礼致しました。 (2016年3月9日 7時) (レス) id: 43efac2d9a (このIDを非表示/違反報告)
写しの本(プロフ) - アイカさん» ああ……本編ではまだ書いていませんでしたが、主人公は女です。れっきとした。なので[ピーーー]とか付いてませんよ(真顔)←← (2016年3月9日 7時) (レス) id: 43efac2d9a (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - 主人公は男の子ですか？女の子ですか？ (2016年3月9日 7時) (レス) id: 0cd967d7be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：写しの本 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/occasional3/
作成日時：2016年3月7日 17時
