検索窓
今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:26,026 hit

弐拾柒歩目 ページ27

見えてきたのは惨状。俺っちと同じような……いや、もしかしたら俺っちよりも酷い日々だったのかもしれないな。……燭台切の旦那の記憶が流れ込んできた。


──────
───────────

「倶利、ちゃん……?」

「み、た……逃……ろッ!」

目の前には堕ち掛けた倶利ちゃん。紅黒く染まった左眼を抑え、苦しんでる。その手を引き剥がそうとするように動く右手には、歴史改正主義者と同じ骨が蠢いていた。

「なん、で……」

「あーらら、もう壊れんのか」

声に振り返れば主。その目は酷くつまらなさそうだった。

「あ、ある、じ……? 倶利ちゃんを助け……!?」

言い終わるか終わらないか……そんな時だった。主に蹴り倒されたのは。

「かフッ!?」

「なーに“物”のクセして俺様に命令してんだ光忠ァ? ン?」

体重を掛けて、踏まれる。痛みと息苦しさから目の前がぼやけていく。

「みつ、た……あ″あ″ァ″ぁ″ア″ア″ァ″ぁ″あ″ア″ぁ″!!!!!!!!」

視界の端で捕らえたのは、変わり果てた倶利ちゃんの姿。

「チッ堕ちたか……ふん、まァ良い。おい、『アレを壊せ』」

「え、や、やめ、て……止めて止めてやめてやめてヤメテヤメテ!!!!」



「そんな、事が……」

「しょくだいきりみつただ……おおくりから……」

追体験。燭台切の旦那の記憶は、俺っちには重すぎた。眩暈がする。胸の奥から、消えていたはずの黒いモノが沸き上がってくる……!!

「……やげんとうしろう、『戻りなさい』」

「ぁ……っ!?」



唐突に聞こえた大将の声は凛としていた。有無を言わさない言葉に、俺っちの意識は……白色に塗りつぶされていく。

「……『光忠』」

最後に見えたのは、雰囲気がすっかり変わった大将の姿だった……。

弐拾捌歩目→←弐拾陸歩目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (58 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
84人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

霧憑 幻(プロフ) - 写しの本さん» 日替わりから此方を読んでいる者です。 ちょくちょく入っている歌詞とか詩のような表現とても素敵です! 応援してます。 無理をせず、更新頑張ってください! (2016年12月13日 21時) (レス) id: a919ed2021 (このIDを非表示/違反報告)
つなれな(-.-)(プロフ) - 順位おめでとうございます!これから来る刀剣のヒントとか聞きたいです((更新頑張って下さい('ω')ノ (2016年4月4日 20時) (レス) id: 9150f75282 (このIDを非表示/違反報告)
写しの本(プロフ) - アイカさん» ……大変失礼致しました。 (2016年3月9日 7時) (レス) id: 43efac2d9a (このIDを非表示/違反報告)
写しの本(プロフ) - アイカさん» ああ……本編ではまだ書いていませんでしたが、主人公は女です。れっきとした。なので[ピーーー]とか付いてませんよ(真顔)←← (2016年3月9日 7時) (レス) id: 43efac2d9a (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - 主人公は男の子ですか?女の子ですか? (2016年3月9日 7時) (レス) id: 0cd967d7be (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:写しの本 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/occasional3/  
作成日時:2016年3月7日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。