弐拾参歩目 ページ23
「何て所で寝てるんだ……夜、起きろ」
下から山姥切国広の声が聞こえてきて、僕は目を開けた。もう朝か……。
「おはよ、やまんばぎりくにひろ!」
──ストッ──
軽い音で木の上から飛び降りる。
「へんなゆめを見たとおもうんだけど……なんかわすれちゃった」
モヤモヤする記憶。思い出せないけど、別に気にしない。聞いてくれるでしょ? 山姥切国広に言えば、さ。
「そうか」
短く答えた山姥切国広は、大きなその手で優しく僕の手を握った。温かい……。
「あさげ、何たべたい?」
山姥切国広を純粋な顔を繕って見上げる。僕の心を見抜いてる筈は無いけど、念には念を。声に単純な疑問を滲ませる。
「……俺はまだよく分からない。薬研にでも聞いてくれ」
こっちを見る山姥切国広の目は空の色。氷の目とは大違いで……僕は目を閉じて笑った。
「ん! そーしよっか!」
きっと朝餉を作ってる間に、この違和感も消えてしまう。……モヤモヤが消えてくれることを望む僕と、何がこの原因なのかをハッキリさせたい僕が居る。
でもさ、何にしても僕は嘘吐きだよね。子供みたいな顔しても、生きてきた時間は誤魔化せない筈だから。
「薄い蜂蜜みたいな黄色……その色を僕にもさ……分けてほしいよ」
気付かないように、気付いてほしい。だからこうやって、小さいけど呟くんだ。
「何か言ったか、夜」
「……んーん?」
認められない記憶とか何とか。全部引っくるめた“僕”に気付いてくれる人は、まだ居ない。
仕方も無いけどね、哀しいことなんだよ。
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霧憑 幻(プロフ) - 写しの本さん» 日替わりから此方を読んでいる者です。 ちょくちょく入っている歌詞とか詩のような表現とても素敵です! 応援してます。 無理をせず、更新頑張ってください! (2016年12月13日 21時) (レス) id: a919ed2021 (このIDを非表示/違反報告)
つなれな(-.-)(プロフ) - 順位おめでとうございます!これから来る刀剣のヒントとか聞きたいです((更新頑張って下さい('ω')ノ (2016年4月4日 20時) (レス) id: 9150f75282 (このIDを非表示/違反報告)
写しの本(プロフ) - アイカさん» ……大変失礼致しました。 (2016年3月9日 7時) (レス) id: 43efac2d9a (このIDを非表示/違反報告)
写しの本(プロフ) - アイカさん» ああ……本編ではまだ書いていませんでしたが、主人公は女です。れっきとした。なので[ピーーー]とか付いてませんよ(真顔)←← (2016年3月9日 7時) (レス) id: 43efac2d9a (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - 主人公は男の子ですか?女の子ですか? (2016年3月9日 7時) (レス) id: 0cd967d7be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:写しの本 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/occasional3/
作成日時:2016年3月7日 17時