22歩目 ページ22
「全く……何を忘れてるんだか覚えてないって言うんですか? 無責任な……」
これは夢。桜の木の上で見てる夢。
目の前に居るのは僕自身。
言葉には偽りなんて欠片も無いけど、僕はこの言葉を覚えていられない。
……自分で拒んでるから、ね。ああそうさ……薬研藤四郎のことだって、僕が言える立場じゃなかったんだ。
「……尤もなことだね。僕はバカらしいことだと思うのかい? この夢だって起きれば忘れてしまう。それは解ってるんだろう、もちろん」
「解っていますよ。当たり前じゃ無いですか……貴方自身のことであり、僕自身のことなんですから」
答えた僕は、凍った目を僕に向ける。僕も、冷え切ってしまった瞳で見つめ返す。存在自体は同じなのに、何故拒んでいるんだろうね?
「貴方は燭台切光忠に感化されたんです。またココに来ることになりますよ」
溜息をついた僕が、僕の胸を指す。……解っているよ、全部。何を如何するべきなのか、なんてさ……解りきっているからこそ
「如何しようも無いんだけどな」
「知ってます」
氷の放つ、冷たい光が僕らの瞳から出ていく。孤独なんて生温いくらいの冷たさを、僕は持っているんだ。
「身を守るのも良いですが、いい加減僕自身を受け入れて下さい。……まぁ、そう言っても受け入れないことくらい解ってます。何も言わなくて良いです」
「悪いね。まだ暫くの間、眠っておいてよ。……まぁ、いつかは解らないけど認めるからさ」
温かい光が目の前に現れ、僕を包み始めた。反対に、向かい合っている僕は冷たい影に呑み込まれていく。
「何、待つのは馴れてます。早いほうが良いですが、無茶して壊れることだけは勘弁ですよ」
その言葉を最後にして、僕の意識は浮かんでいった。さて、今日も無知を享受しようかな。
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霧憑 幻(プロフ) - 写しの本さん» 日替わりから此方を読んでいる者です。 ちょくちょく入っている歌詞とか詩のような表現とても素敵です! 応援してます。 無理をせず、更新頑張ってください! (2016年12月13日 21時) (レス) id: a919ed2021 (このIDを非表示/違反報告)
つなれな(-.-)(プロフ) - 順位おめでとうございます!これから来る刀剣のヒントとか聞きたいです((更新頑張って下さい('ω')ノ (2016年4月4日 20時) (レス) id: 9150f75282 (このIDを非表示/違反報告)
写しの本(プロフ) - アイカさん» ……大変失礼致しました。 (2016年3月9日 7時) (レス) id: 43efac2d9a (このIDを非表示/違反報告)
写しの本(プロフ) - アイカさん» ああ……本編ではまだ書いていませんでしたが、主人公は女です。れっきとした。なので[ピーーー]とか付いてませんよ(真顔)←← (2016年3月9日 7時) (レス) id: 43efac2d9a (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - 主人公は男の子ですか?女の子ですか? (2016年3月9日 7時) (レス) id: 0cd967d7be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:写しの本 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/occasional3/
作成日時:2016年3月7日 17時