拾捌歩目 ページ18
山姥切国広と、半ば強引に燭台切光忠と手を繋いで、僕は歩いていた。恐いのかな？ 燭台切光忠の手は少し、震えてた。
「さぁて、きょーのゆーげは何がいい？」
凍り付きそうな空気の中、僕は呑気そうな声を出す。ふと燭台切光忠の顔を見ると、その目には冷たい闇が渦巻いていた。
「主が食べろ、と言うなら何でも食べるよ。主が命じるなら逆らわない」
…僕はそんな燭台切の言葉に山姥切国広以上の卑屈さを感じた。何があったんだろう？
閃さんの手紙には『ブラック本丸に唯一残っていた刀剣で、太刀だよ。堕ち掛けてはいるけどキミにあげよう。家事が得意な刀剣だから、役に立ってくれると思うよ』というようなことしか書いてなかったんだ。
僕は教えられていない事を察せるほど頭が良くないから、如何しようもないんだけどなぁ……。
「……」
「えー？ じゃあねぇ……おやこどん、っていうのを作ってみようかな？」
射貫くような目で燭台切光忠を見る山姥切国広を見なかったフリをして、僕は再び口を開いた。
「さぁってと！」
──スタンっ──
引き戸の前に立ち、それを片足で開た。……歌仙兼定がいたら怒られそうだね！ 僕は二人の手をそっと離した。
「ココがお台所！ つまりクリヤ、だよ！」
「……綺麗だね」
燭台切光忠の言葉に感情はない。でも瞳には確かに、驚きが映っていた。全部を総合して考えてみると燭台切光忠のいた本丸は……かなり酷いところだったんだろうね。
「……夜、おやこどん……というモノはどうやって作るんだ？」
思考を中断するように山姥切国広が僕に問い掛けた。
「んー？ えっとねー」
「鶏肉と卵を使った丼物……」
「え？」「……あれ」
「僕は、何を言っているんだろう」
いきなり燭台切光忠が呟いた。正しい答えだし、僕は相槌を打とうと思った。なのに燭台切光忠は震えだしたんだ。
「主あるじあるじごめんなさいごめんなさいごめんなさいでしゃばってごめんなさい許して殴らないで折らないで折らせないで……！」
山姥切国広が目を閉じた。そっと紡がれた、呟くような言葉は……僕じゃなく、燭台切光忠に向けられていた。
「落ち着け。夜はそんな事をするような奴じゃない。まず夜の手を見てみろ。あんたを折る力なんてない」
僕は思わず山姥切国広の顔を見た。
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霧憑 幻(プロフ) - 写しの本さん» 日替わりから此方を読んでいる者です。 ちょくちょく入っている歌詞とか詩のような表現とても素敵です！ 応援してます。 無理をせず、更新頑張ってください！ (2016年12月13日 21時) (
レス) id: a919ed2021 (このIDを非表示/違反報告)
つなれな(-.-)(プロフ) - 順位おめでとうございます！これから来る刀剣のヒントとか聞きたいです((更新頑張って下さい('ω')ﾉ (2016年4月4日 20時) (レス) id: 9150f75282 (このIDを非表示/違反報告)
写しの本(プロフ) - アイカさん» ……大変失礼致しました。 (2016年3月9日 7時) (レス) id: 43efac2d9a (このIDを非表示/違反報告)
写しの本(プロフ) - アイカさん» ああ……本編ではまだ書いていませんでしたが、主人公は女です。れっきとした。なので[ピーーー]とか付いてませんよ(真顔)←← (2016年3月9日 7時) (レス) id: 43efac2d9a (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - 主人公は男の子ですか？女の子ですか？ (2016年3月9日 7時) (レス) id: 0cd967d7be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：写しの本 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/occasional3/
作成日時：2016年3月7日 17時
