拾肆歩目 ページ14
「やまんばぎりくにひろー!」
夜の声に、目を開く。枕元に置いておいた布を被り、俺は廊下に出た。
「夜、如何かしたのか」
残る眠気を飛ばすように目を擦った。視界が晴れていく。
「あ、おこしちゃったの……?」
済まなそうな声。差し込む朝日に目を細め、俺は気にするなと応えた。
「それで、何かあったのか」
夜は思い出したような顔をすると、俺に刀を差し出した。大きさから見るに太刀か…? だが、その周りには暗いもやが掛かっているようだった。俺はこれを知っている。薬研の時と同じ……これは闇に堕ちる寸前の刀剣だ。
「閃さんからのお手紙といっしょに、キツネさんが持ってきてくれたんだ」
夜は何も知らないかのように小さくはにかみ、こう続けた。
「けんげんするから、いっしょに来てくれないかな?」
「……解った」
夜は嬉しそうに目を輝かせる。あぁ、心配だ…。
「だーれが来るのかなっー!」
無邪気な夜は、この穢れに気付いてる……訳ないか。……本当に心配だ。
「さーってと、よびますか!」
いつも通り鍛刀部屋に来て、夜は手を重ねる。張り詰める空気が懐かしい。俺もこんな空気の中で呼ばれたんだ……。
「出てきて下さいーっと!」
一瞬にしてもやが晴れる。明るい光の中から、人影が見えてきた。
「──僕は、燭台切光忠。青銅の燭台だって切れるんだよ。……うーん、やっぱり格好つかないな」
機械的な口調に驚いた。決められた台詞を唯読んでいるだけのような感じ。しかも目には一筋の光も写っていない。
「うーん、ぶらっく本丸から来たって書いてあったけど……やげんとうしろうと同じってことなのかな?」
夜ののんびりとした口調が、余計に俺の不安を煽る。
「……僕は、何でここに居るのかな」
俺の思考回路は、其奴の声によって止められた。生気の無い声に鳥肌が立つ。
「? 僕がよんだからだよ?」
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霧憑 幻(プロフ) - 写しの本さん» 日替わりから此方を読んでいる者です。 ちょくちょく入っている歌詞とか詩のような表現とても素敵です! 応援してます。 無理をせず、更新頑張ってください! (2016年12月13日 21時) (レス) id: a919ed2021 (このIDを非表示/違反報告)
つなれな(-.-)(プロフ) - 順位おめでとうございます!これから来る刀剣のヒントとか聞きたいです((更新頑張って下さい('ω')ノ (2016年4月4日 20時) (レス) id: 9150f75282 (このIDを非表示/違反報告)
写しの本(プロフ) - アイカさん» ……大変失礼致しました。 (2016年3月9日 7時) (レス) id: 43efac2d9a (このIDを非表示/違反報告)
写しの本(プロフ) - アイカさん» ああ……本編ではまだ書いていませんでしたが、主人公は女です。れっきとした。なので[ピーーー]とか付いてませんよ(真顔)←← (2016年3月9日 7時) (レス) id: 43efac2d9a (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - 主人公は男の子ですか?女の子ですか? (2016年3月9日 7時) (レス) id: 0cd967d7be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:写しの本 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/occasional3/
作成日時:2016年3月7日 17時