初期刀は山姥切国広

壱歩目 ページ1

理由は……何だっけな。綺麗な世界に、僕も１つくらいは綺麗なモノを遺せたらな、って思ったからだっけ？ まぁ良いか。
えーっと、それで僕は澄み切った蒼い空の中、紅い花を綺麗に、きれいに、キレイニ咲かせてみたんだよね。

「こ、のよ…でいち、ばん…かなし、あかいろ、だ、たけね…？」

ふと思い出した、在る歌の一節。僕の耳には劈く様な悲鳴や、焦る声が聞こえてくる。また違う歌を思い出す。

「なつ…は、むし、ろすき…な、だけど……がフッ！」

僕の口は、再び紅い花を咲かせる。うん、何だか眠くなってきたな。そろそろおさらば、になるのかな？ 走馬灯……とかは無いんだね。意外だなぁ。僕にも思い出はいっぱいあったと思うんだけど。
……まぁ良いか。自分で選んだんだから悔いは無いし、やり残したことは無……あ、１つだけあったや。あーあ、僕の馬鹿。こんなことなら彼等の面倒を見てくれる“審神者”さん、探しておけば良かったなぁ。

「やま……ぎりく、にひ、ごめ…ね」

僕はそっと、初期刀の『彼』に……届くはずも無い言葉を



送った。

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