十節 ページ33
数日後。
私は荷物を纏め、マンションの前に立っていた。
「A!」
「雅臣兄さん」
「__おかえり」
「...ただいま」
「さ、中に入ろう荷物持つよ」
「あ、ちょっと待って」
雅臣兄さんに荷物をもって貰って敷地の外に出る。
「シュウ」
外にいたシュウに声をかける。
「......ナニ?」
「ん...送ってくれてありがとう、また明日学校で」
「ああ」
口角を少しあげてシュウは車に乗り込み、行ってしまった。
「おまたせ」
雅臣兄さんと並んでマンション内んに入り、エレベーターに乗り込む。
一度荷物を部屋に戻してから五階に上がる。
「はい」
雅臣兄さんがドアを開けて先に入るように促された。
恐る恐る足を踏み入れると、下から弥や要兄さんの声が聞こえてくる。
階段をゆっくり下りると要兄さんが私に気づいた。
「...ただいま」
「おかえり、A」
そっと抱き締められて頭を撫でられた。
「おねーちゃんおかえりー!!!」
「ただいま弥」
「お帰り、A」
「ただいま梓兄さん」
この場に絵麻さんは居ない。
麟太郎さんとお母さんの判断で一度この家から離れることになった。
『みんなで暮らせるようになると良いね』と雅臣兄さんは言っていた。
侑介兄さんも今は部屋に籠っている。
好きな人が起こしていた事を受け止めきれずに居るらしい。
「お帰りなさいA」
「ただいま、右京兄さん」
念のためにと依頼していた指紋鑑定の結果は絵麻さんの言っていたものとは食い違った結果だったと右京兄さんから連絡が入っていた。
「...夕ご飯の支度、手伝うね」
「ええ...お願いします」
「あら、Aもう来てたの?」
「光兄さん」
「じゃあ早速行くわよ」
このあと約束した買い物に一緒にいく光兄さんに上から声をかけられた。
「A、髪やってあげる」
「琉生兄さん」
この日常が愛おしくて堪らなかった。
今すぐ元通りにはいかないし、まだまだぎこちないけれど。
ゆっくり、ゆっくり、歩んでいこう。
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芥川さん芥川先生大好きハァト?(?´▽`?)(プロフ) - コメント失礼します、このふたつの作品を小さい頃にみて好きになった作品なんです。それを、このアプリでまた見れてとてもなんだか嬉しくなりました。内容もとても現実味があってとても好きになりました!思い出させてくれた作品でした、ありがとうございました (2022年10月20日 3時) (レス) @page36 id: e045e2365d (このIDを非表示/違反報告)
アルム(プロフ) - ルナさん» 最後までありがとうございました!自分の作品をそう言って頂けて嬉しい限りです...泣 (2020年8月11日 12時) (レス) id: 9fec9f9c9f (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - 本当にお話が面白くて、感情移入しすぎて何回も泣いてしまいました笑。ディアラバもブラコンも好きなので読んでいて飽きませんでした。シュウ達の優しさに改めて惚れました笑。本当に面白かったです。 (2020年8月11日 0時) (レス) id: e324944dd9 (このIDを非表示/違反報告)
アルム(プロフ) - 凛さん» わー!ありがとうございます!!原作も是非見てみてください!(笑) (2020年7月9日 20時) (レス) id: 9fec9f9c9f (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - コメント失礼します!!あまり知らないものだったのですが、最後まで一気に読んじゃいました!!完結お疲れ様でした!!最後の方はなんだかウルウルしちゃいました笑 (2020年7月8日 9時) (レス) id: 2f507e2d7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルム | 作成日時:2020年5月16日 18時