真似 ページ10
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翌日
ガフトのバイトも無事に終わったが、高専ではその話題が繰り広げられていた。
「伏黒、お前俺らが帰った後何してたんだよ」
俺が寝た後に帰ってきただろ、と虎杖が言った。
因みに私達が高専へ戻ったのは22:30頃だったので、きっと虎杖は健康優良児である。
「別に何も」
伏黒は昨日のスタダでと同じように首を振った。
その言い方が癪に触ったのか、少々苛つきつつ野薔薇が言った。
「何もあるのかよ、無いのかよ!私のAを誑かしやがって!この、このー!」
素早く伏黒からの隣から離され、アイツは危ないと説教をされた。
…因みに出会って2日である。
「女子達が伏黒に群がってた」
その事実を隠し撮っていた写真(モザイク処理あり)を共に見せつけると
「重油まみれのカモメに火つけるような見た目だろうが!なんで群がられてんだよ」
「この女の子達、大丈夫かな」
虎杖の方が紳士的に見えつつも、「(男を選ぶセンスが)大丈夫かな」と言っているのではないかと不安になってくる。
すると、後ろからひょいとスマホを取られた。
伏黒だ。
「おい、勝手に撮ってんじゃねえ」
「とても滑稽でした」
「なんで敬語なんだよ」
そこは咎めないでほしい。だって、昨日の事があっても、まだ打ち解けてはいけない気がするから。
「別に…何も?」
と伏黒の真似をして応じた。
変にわだかまりが生まれても嫌だし、暫くはこのままの距離感でありたい。
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作者名:朧 | 作成日時:2024年1月28日 9時