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着いてくんな ページ9

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体感より早く終わったバイトの一時間後に、また次のバイトがある。

そこは高専に入ってから辞めるはずの場所だったが、今日は行っておこうと意気込んでいた。

「A、遅いぞ」

「待ってなんて言ってないんですけど」

スタダから外へ出ると、伏黒が女子達にキャアキャア言われていた。

彼は気にせずスマホをいじっている。なんて神経が図太いんだろうか。

女子達は私を一瞥すると去って行った。

「何やってるんですか?」

歩きながらもスマホをいじり続ける伏黒に痺れを切らして訊く。

「ムツムツ」

「スコアは」

「1億3500万4322」

事細かに答えられた数字に目を瞬く。

「暇なの?」

「暇だったんだよ」

帰ったらよかったのにと言葉を投げて、少しだけ距離を置く。

「女子が一人でこんな時間に外とか、悪い男に引っかかるぞ」

その呟きは私の耳まで直通して聞こえてきた。

「なんで」

「お前、何回かコーヒーをもう一杯注文するときに知らんオッサンから連絡先のメモ渡されてただろ」

…なんでその事を。

「帰ったら捨ててるよ」

「見過ごせねえよ、明日学校に来れない体になってたらどうする」

「ムッツリ」

「うるせえ」

ここで気づいた。

冷やかすほどの会話は出来てしまうのだ。

さっきの受け応えはなんだったんだろうと空を見た。

ガフトに着くとまだ時間があったので、伏黒と席に座った。

デートのように見えるのがなんだか居た堪れない。

ただ、少しだけ隣にいてやってもいいかなと、そう思った。

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作者名: | 作成日時:2024年1月28日 9時

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