ワンモア ページ8
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楽しい時間は早く過ぎる。
私について、呪術について、最近気になっている事について…。
話題を変えつつも話していると、いつのまにか14:40となっていた。
「お！もうこんな時間じゃん。飲み終わったら帰ろうか」
虎杖がそう言うと、
「アンタらが飲むの遅いのよ。私もうとっくに飲み終わってるわ」
と野薔薇。
実際、まだ飲めていないのは虎杖と伏黒だった。
「俺、飲み終わりそうにないし、まだ残っとく」
コーヒーに口をつけながら伏黒が言った。
眠たいのか目を細めているので、表情が見えづらかった。
「A、時間大丈夫か」
伏黒に急かされアッと声が出る。
もう時計の長針は10を示していた。
「もう行ってくる！じゃね」
そう踵を返すと店裏へ周り、そこから店内へ入る。
「こんにちは」
そう言って控室を見渡すと、先輩の店員が手を振ってくれた。
「こんにちは、今日も暑いね」
今は6月で、蒸し暑い日が続いている。
そうですねと適当に相槌を打ち、緑のエプロンに袖を通した。
今はまだ混む時間帯なので、素早く店頭に立つ。
「こんにちは」
「カフェミストをトールで」
「かしこまりました」
まだまだ後ろに列が並んでいる。
急足で駆け抜けて、なんとか捌き切れた。
忙しい時間が終わってそろそろシフトタイムが半分の時間だった。
「こんにちは」
目の前に居たのは伏黒だった。
彼は平然とした顔で
「ワンモアコーヒー、グランデでお願いします」
私はこの男に引き攣りつつも笑顔を見せた。精一杯の配慮である。
真逆“もう一杯”を頼んでくるとは思わなかった。
先刻の『飲み終わりそうにないし、まだ残っとく』にツッコミを入れつつも、業務を済ませた。
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作者名：朧 | 作成日時：2024年1月28日 9時
