いざ出陣 ページ7
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そう針を指しているアナログ時計は、ニスでコーティングされていて独特の艶を放っていた。
今、私達はスタダにつき、何を頼もうか模索中だ。
「俺、マンゴーフラペチーノ!トールで」
「私は期間限定のピーチフラペチーノにするわ、トールでお願い…あ、ホイップ増量で」
「私はコーヒーフラペチーノ」
ショートでと言うとそれで足りる?という顔をされる。今からここで働くし、滞在時間多いんでしょという表情だ。
「大丈夫だよ。美味しいと飲むの遅くなっちゃうんだよね」
ちなみにコーヒーフラペチーノが一番お得だ。
ワンコイン以下で買えるなんて、それだけお得なことはないだろう。
「俺はコーヒー、ベンティで」
一番大きいサイズを頼んだ伏黒に、一同は驚きを隠せなかった。
「アンタ、何考えてんの」
すると伏黒は頭に疑問付をつける。
「別に何も」
これが常識かと問われると、なんとも言えない。
コーヒーのベンティを頼む人なんて、学生にそうそういないのだ。
私がフードで気になっていたシナモンロールを手に取って会計に臨む伏黒は、なんだか渋かった。
席に着いた後、伏黒に奢られたシナモンロールをもそもそと食べながら話に参加する。
「Aってどこから来たの?」
「大田区の北らへん」
「東京かあ…」
地方民が増えると勇んでいたらしい彼らは見るからにシュンとしていた。
「これで2:2だな」
伏黒がそう言うと、私は
「ア、ソウデスネ」
豆鉄砲喰らわされた鳩のような素っ頓狂な声を上げる。
「怖がられてる…」
「敬語使われてる…」
向かいにいる二人が吹き出し、伏黒は頭を掻いた。
なんだろう、何処から撮っても絵になる顔だ。
後ろの席にいる女子高生も、こぞってこちらを見ているしスゴイなヒモ息子パワー。
伏黒は、いつの間にか失礼なあだ名を付けられていたことを知らない。
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作者名:朧 | 作成日時:2024年1月28日 9時