憎むべき ページ4
.
声をかけられて首を上に持ち上げる。
白髪目隠しの男がいた。
「なんか説得できなさそうだったし、このまんま高専に連れて行きマース」
「はい?何の冗談ですか」
足をバタバタすると「落ちるよ」と言われて小さな悲鳴をあげた。
軽い冗談かと思いきや、一瞬で着いてしまい、困惑で声が出ない。
「今日から君の部屋はここね。んじゃ、おやすみー」
バタン、と戸が閉まった後、暗い部屋に一人残される。
母は今頃どうしているのだろう。
思ったより早い出発であり、荷物もまとめていないというのに、ここへやってきてしまった。
さっきまで蹴りを入れていた足が空を切る様子を想像して、ふと笑う。
なんとなく読んだ高専パンフレットをもう一度読み直し、基礎について学んでから寝た。
いつにない解放的な夜だった。
______
今朝、新しい紺の制服に着替え、校舎へ向かう。
教師…もとい五条先生に教えられた階へと移動して、さっと戸を開ける。
「おはようございま_」
他の生徒がいると聞いていたが、3人のみだった。
ツンツン頭、ピンク髪、可愛い女子。
「過疎地…?」
「そーだね。呪術師は今、過疎状態だ」
後ろから降る声に振り返る。
「それじゃ、自己紹介どぞ!」
「AAです。五条先生に誘拐されて来ました。どうぞよろしく」
「違うよ?アレは誘拐じゃなくて救助…」
昨夜のアレは誘拐だった。訂正など必要ない。
「先生ならやりかねないわね…」
「うん、五条先生だしな」
信用はハナから無かった様だ。
「それじゃあ気を取り直して3人!自己紹介いこう!」
すると可愛い女子が立ち上がり、言った。
「釘崎野薔薇。A、後でスタダ行くわよ」
突然の誘いに目をぱちくりさせつつも頷いた。
「俺は虎杖悠二!よろしく」
元気いっぱいだ。可愛い。
「伏黒恵」
名前だけ言うと、サッと座った彼にブーイングが集中した。
伏黒…?
憎むべき男が、フラッシュバックして、その後の五条先生の紹介は聞き取れなかった。
223人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:朧 | 作成日時:2024年1月28日 9時