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「姉さん?」
目の前の大人になったイルミを見上げる
少し心配そうに覗き込む彼に微笑んだ
『大丈夫、むかしのこと思い出してたの』
「どんなこと?」
『執事2人始末してもらった時のこと』
「なにそれ?そんなことあった?」
『いやだ、本気で言ってる?』
思い当たることがないと言った表情のイルミに私は呆れながら説明する
「あぁ、あれね。執事のことは忘れてた、あはは」
『わあ、かるーい』
私としてもあんな思い出なんていつまでも覚えておくものじゃないから安心したところもあるけど
「姉さんとの思い出は覚えてるよ、全部」
『本当かなあ…』
「ホントホント」
長い廊下を歩きながら私たちは思い出を振り返り合う
地上へと降りるエレベーターに乗る頃には昔のくだらない争いごとの続きをしていた
『だからあの時は私がターゲットの首を先に切って、その後にイルミが心臓にナイフを刺したのよ』
「順番が逆だよ。俺が投げたナイフの方が先に心臓に刺さってた」
『それは嘘よ。わざわざ刺さってるのに首なんか切らないもの』
「コンマの違いだね。なんと言おうと俺が先に仕留めたんだよ」
『嘘〜』
私たち2人で1人のターゲットを狙う時は必ずこうなるから最近ではお父様たちは別々に割り振りをしている
お爺さまには私たち2人は山で鹿を狩っている時の方が良心的だよと呆れられるほど
「まあ実際さ、鹿よりも人間はいっぱいいるし、俺たちに高い金払ってでも殺して欲しい奴らに向ける良心なんてのはないね」
『そもそも私たちに良心なんて微塵もないし』
「そーそー、じーちゃんはなんか気にするよね。
そういう良い人っぽさをさ」
『ついでにお父様も』
「母さんと足して二で割ったらちょうど良くなるんじゃない?」
あははと笑うイルミ
お母様をなんだと思ってるのか
『はは、そしたら私たち完璧よ?』
一緒になって笑いながらイルミを見た
「たしかに、盲点だったよ。さすが姉さん」
『へへ、完璧なんで☆』
キラキラ全開でピースした私をイルミはゆっくり観察して謎に慰めた
「…なにしても姉さんは可愛いと思うよ」
『…ふんわりした慰め心に来るなぁ』
痛い姉さんでごめんよ
地上まで降りてエレベーターが開く
そのまま2人で外へ出た
外は曇りだった
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逆叉(プロフ) - 初めまして!一気読みしてしまいました…!めっちゃ面白いです!暑い時期ですので、お身体を大切になさって下さい。応援してます! (2020年8月19日 23時) (レス) id: 312e15def1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふぇもふぁ | 作成日時:2020年6月23日 21時