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ツボネに案内され初めて自分の家へと足を踏み入れた

扉の向こう側には自分と同じ銀色の髪と瞳を持った男と初老の男の2人

鋭い眼差しでAを観察していた

『はじめまして』

「…はじめましてか、よく来たな。さあ、おいで」

たぶん自分の父親だと確信したその男は抱き上げようと手を伸ばす

『わたしのかぞくをみせて?』

その手に首を振ってそう告げる

「…シルバ、案内してやれ」

「ついておいで」

ツボネはここで待つようだ
Aは1度ツボネを振り返り隣を歩く父親に聞く

『あのひとをおこらないで、もうここにはこないから』

「……」

「…安心しろ、そんなことはしない」

その言葉を聞いて前へと視線を戻して長く暗い廊下をついて行った


案内された部屋には大きくふかふかのベッドに天井から垂らされたシルクのレースのカーテンが何重にも垂れ下がり柔らかな匂いが充満していた

そのベッドには白い上等な服を着た女
その手にはお包みにされた産まれたばかりの赤ん坊


女はAを見て大粒の涙を流した

何の涙なのかAには全くわからないし、知りたいとも思わなかった
それよりもその手に大切に抱えられた存在ばかりが気になった

『みせて』

ベッドに近寄ってふかふかの毛布に手をついて見上げる

父親がAを抱えてベッドに上げる
女がそっとその存在を見せる

『……』

その存在を確認した途端、頭の中の霧が晴れたような感覚になる
心に温かいものが流れ込んで満たされていく
銀色の瞳がキラキラと輝きだす

その時やっとAは自分が生まれた意味を理解した、この生を全うする目的を見つけた

そしてどうしてもこの家に居なければならないと感じた
自分の末路は声から聞いている





どうすれば…

すると声が一言



“私を呼んで”





『… おいで、ディルムッド・オディナ』

淡い光がAから離れて1つの存在を形成する
その姿はまさに騎士
彼女の前に傅き頭を垂れた






「…なんと、その齢で念を扱うか」

「…」

「!!」


「私が彼女に歩き方を教え、言葉を教え、物の使い方やありとあらゆる知恵を与えた存在だ。
彼女の願いから創られた、未熟な彼女に変わって私から告げよう。
彼女をこの家に帰せ。
産まれたばかりの家族のそばに居たい、彼女の願いはそれだけだ」

「お前はなんだ?」

「彼女の願いから創造された意思を持つ念体、彼女の言葉のみ耳を傾け、彼女のためにだけこの力を使う」


.

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設定タグ:HUNTER×HUNTER , ゾルディック , ヒソカ   
作品ジャンル:アニメ
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逆叉(プロフ) - 初めまして!一気読みしてしまいました…!めっちゃ面白いです!暑い時期ですので、お身体を大切になさって下さい。応援してます! (2020年8月19日 23時) (レス) id: 312e15def1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふぇもふぁ | 作成日時:2020年6月23日 21時

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