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激しい頭痛に目を見開いた
瞬間に誰かの記憶を垣間見た
土地を追われ、居場所もなく、彷徨う人々
集まり寄り添い生きた記憶
普通を願っただけの人たち
世界を呪い、時代を呪い、人を呪い
それでも生きたいと願った
そんな愚かな命すら賭して得た力
この時代を超えたらこんな紙切れなんて必要なくなる時代が来る、それまで永劫の日々を過ごすことになった人たち
ついぞ訪れない未来に心も何処かへ行ってしまった人たち
500年の歳月は無駄だったのだろうか
永遠に報われない魂をぶら下げ、哀れな骸が夜な夜な魅惑的なサーカスを開催する
いつしか魂の解放のみを目的として彷徨い続けたサーカス
『…っ(くそったれ)』
やりきれない感情を押し込めるように組んだ腕にガリッと爪を立てた
今もなお様々な感情が私の中を掻き回す
はち切れそうな身体と心を抱えて私はなおも苛立ちを腹に沈めて、もう何もかも溢れんばかりだった
できるなら、クロロの前では、意識がない状態でもディルが活動できることを知られたくないのだ
だからハンター試験の終わりにもイルミを呼んだのだから
でも致し方ないかな
もう体がはち切れそうだ、何もかも
『(…ヒソカ)』
心の中でディルに謝る
諦めた時、声が聞こえた
「予想外の終わり方だね♠」
『(むかつくほど完璧なタイミング…)』
扉の方に目を向けるとヒソカがこちらに向かって歩いてきた
開いた瞳孔と研ぎ澄まされた念
彼にとっては最高の時間だったようだ
溌剌として気分爽快といった様子
「でもAは不服そうな感じ♡」
私のそばに寄って私の顔を覗いたヒソカ
『…』
「…♠」
私の目を見て察したヒソカ
私はやっと安心して吸収した念に集中するために意識を手放す
クラクラする、霞む視界に目を凝らしてヒソカに手を伸ばした
伸ばした手をヒソカは取ってくれた
『…ほんと、くそったれ…だ』
「起きたらぜーんぶ聞くよ♣」
私の熱くなった目頭を見たヒソカは愉快そうに口の端を吊り上げた
なんの顔だそれ
こっちは大変な思いしてる最中なのに腹立つな
『ぜったぃ、なぐる…』
「オーケー、待ってるよ♡」
そう言ってヒソカは倒れる私の身体を抱き抱えた
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逆叉(プロフ) - 初めまして!一気読みしてしまいました…!めっちゃ面白いです!暑い時期ですので、お身体を大切になさって下さい。応援してます! (2020年8月19日 23時) (レス) id: 312e15def1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふぇもふぁ | 作成日時:2020年6月23日 21時