きゃ！どんどん強くなっちゃう！２ (ページ44)

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ヒソカside

柔らかくて揺蕩う

閉じた瞼の向こうがぼんやりと光る
微睡の中で確かに
誰かが僕の肌に触れて、離れて、また触れる

繰り返し規則的に
まだこのままでいたい気持ちと、
その人を確かめたい気持ちとで迷う

そしてゆっくり目を開けた

『おはよう』

「…おはよう」

目に広がる銀色
日は落ちて夜

月に照らされる彼女をみるたびに思うのは、
月夜は彼女のための時間

それくらい月が似合う

猫のような目が人間らしい丸みを表すと、心臓を掴まれたような気持ちになる

いまだに僕の肌を撫でる手

まだ寝ぼけた頭で僕はそれに視線を向けた

「手…」

『あ、ごめんなさい。つい癖で』

そう言って手を離した彼女
それを追いかけるように僕の手は伸びた

『？ヒソカ寝ぼけてる？』

彼女の手を捕まえてゆるゆると自分の方に引き寄せた

「まだ少し寝ぼけてるかも♣」

身体に意識を持っていくと念が微々たるもの
練る以前の問題
一般人ってこんな感じなのかと遠い昔の記憶を思い出させる

『よく眠れた？』

彼女の顔を見れば、悪戯な目をしている
僕は目を閉じて苦笑しながら

「Aのおかげでね♡」

と返してあげた
満足そうに笑った彼女

『あと２日はそのままよ』

「なんか変な感じだな♣」

特訓に付き合っていたときも何回かこの状態になったけど、未だに慣れない
間違えて念能力使おうとしてしまうこともあった

『ちゃんと反省して』

僕の顔を覗き込んで真剣な目で訴える
僕はこういうとき揶揄うのが最高に好きなんだけど、彼女の前ではそんな気は起きなかった

「謝るよ♡現状に満足してるし、もう欲張らない」

『安心した。このまま飛行船に乗せて帰そうか考えてたんだからね』

与えられた仕事はちゃんとやって、邪魔しないで
そう釘を刺されて笑顔でうなずいた

「足、枕にしてくれてたんだ♣」

むくっと起き上がって固まった筋肉をほぐす
そうしながら彼女を見れば

『頭痛そうにしてたから』

「ありがとう♣」

気にしないでと笑う
きっと弟たちも彼女のこれに離れ難さを感じているんだろうなと感じた

今までそうしてくれた女はたくさんいた
けどなんで彼女のこれは、他とは違うのだろう
何が違うのだろう

そう思って彼女をまじまじと見る

『なに？』

「考え事♣」

『教えてよ』

「まだ秘密♡」

なにそれと足を組んで視線を前に戻した彼女
その隣に座って僕はトランプをいじりはじめた