きゃ！どんどん強くなっちゃう！２ (ページ13)

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クロロside

Aが大男の首をへし折った。

手を下すまでの隙のなさと素早さは並みの人間には目視できないほど、そしてへし折るまでの殺意が全くなかった

いや言葉が違うな、殺意はもとより無い。そこにある物をなんとなしに握って捨てるが如く自然な行いだった。ゴミを丸めて捨てるような、そんな仕草

呆気なく死んだ大男を見て観衆の大ブーイングが起こる

無理もない。簡単に死んだように見えるのは、力量の差が大きすぎるから。Aはそれを隠すのが恐ろしく上手い。その方が彼女にとっての利点が多いからだろう。

Aはクルリと方向を変えてこちらへと帰ってきた

「アイツだけでいいのか？」

『何か仕掛けてくれば殺すよ』

「金にならない殺生はしない主義か？」

『そうかもね』

Aは俺の問いかけに応じるだけだ。
言えば反応を示すだけ、回答にはならないことばかり

彼女にとっては俺に質問されることにひどくストレスを感じるようだ。
正しい危機管理能力は称賛に値するが、本当に厄介だ。

きっとこの試験期間中では相手の警戒を解くことは困難だろうな

隣でシャルナークがさっきの首のへし折り方を教わっている
シャルナークには警戒を解いているが、俺がシャルナークを介してのコンタクトには敏感、シャルナークが俺を思っての行動も感知する始末、あくまで個人的に気に入っただけということか

シャルナークに言われた通り、俺自身でなんとか彼女に取り入らなければならないな…

借りを返すだけでは無理だが、多く返せば警戒されるだろう

「…やっぱり難題だ」

ため息をこぼしながら呟く

『熟慮なこと』

思いがけず返ってきた言葉に内容は皮肉だが恩恵を被る気持ちで返す

「一緒に考えてくれるのか？」

薄く笑いながら聞けば鼻にシワを寄せたAは吐き捨てるように言葉を放つ

『白々しい』

「あはは！本当に参ったな」

段々と感情を出してくれるようになったのは大きな進歩だが、こうも爪を立てられると手を焼く

思わず笑った俺が不愉快だったのだろう
怪訝な表情をしてもうこちらを見なくなった

まあ、長期戦になろうとも構わない。とりあえずは、そばにいるだけでも俺にとっては充分価値がある