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『あ、お父様?やっぱり思った通りだった、うん、2人だったけど仲間割れして1人死んでもう1人は厄介だったから逃げてきたの…大丈夫だよ。え?お爺様が?わかった』

ピッと電話を切る

ディルが心配そうに私を見る

『お爺様が依頼主殺しに向かったんだって、だから一緒に帰っておいでって、隣町で待っていよう』

ディルは私の言葉を聞いて頷くと、私の頬を流れるものを親指の腹で拭った

『ありがとう。私のナイトさん』

ディルは安心させるように笑った

私の念から出来た私の理想の騎士、自分から生まれたにしては戦闘力性能性格が上出来すぎる

そんなディルに甘えて盛大に愚痴を零した

大きくを息を吸って

『あーー!!さっきのすごい恋愛フラグだったのに、ものにできなかったよー!!!』

「…」

『なによ!ディルは念体だからこの気持ちがわからないんだわ!!え?わかる?うそ!!じゃあなんでそんな目で見るのよ!!』

ディルとは思考がお互いに通じているので意志で会話が可能だが、昂る感情を抑えきれずに喚く私

呆れ顔のディルにむくれる

『私だって戦闘狂で変態なのはダメだと思うの、でもでもでも、あの人今まで出会った中でもトップクラスで強い人だったのよ?それはディルもわかるでしょ?』


それは間違い無いと同意の頷きをする

『私は私よりもディルよりも強くて守ってくれるような方と一生添い遂げたいのに…どんどん強くなっちゃって、うえぇん』

「!!」

泣きべそをかいている私にギョッとしたディルは速度を緩める

ポロポロ出る涙をごしごし拭いながらディルに話す

『長子だけど女だからってお家も継げない、でも女の子としては強すぎて数々のお相手から縁談を断られて、
私、家族のことは世界一大好きだから頑張りたいのに、そうすると私は私はなりたい姿になれないの』

でも私より弱い男の人と結婚するなんて考えられないんだもの〜!



とうとう本気で泣き出した


ディルは足を止めて私を見た


「貴女の気持ちは全部知っている。だからこそ、貴女は素晴らしい人であるとはっきり言える。こんな素敵な女性には相応の相手が必要なんだ。そうホイホイ現れても貴女は困るだろう」

鼻水を垂らしてぐずぐずの顔をハンカチで綺麗にしてくれる

「それに貴女のその涙は、悔しさから来るもの…相手が貴女を軽んじた行為に対することへの」

貴女はなにも変わる必要はない。
そう伝えてまた走り出したディルの言葉を私は頭で反芻した

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作者名:ふぇもふぁ | 作成日時:2020年5月18日 20時

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