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あらかた荷物を纏めた姉さんは立ち上がって着替えをする
俺はソファに座ってジッと姉さんを監視する
姉さんは気にすることなく服を脱いでいる
動きやすい服から普段よく着ている黒い膝下の丈のワンピース
少し化粧をして荷物を抱えた
『よし。完璧』
「ダメだってば」
自分の部屋を出ようとする姉さんの前に立ちはだかる
『イルミは聞かん坊ね!』
「その言葉そのまま姉さんに返すよ」
出て行くと姉さんが言ってからずっと針を刺す瞬間を狙っているのに全然隙がない
そんなに出て行きたいわけ?
家族やオレたち兄弟と離れたいわけ?
「本当、考えられないんだけど」
腹の中の不満を吐き出すような言い方
でもこれくらいはっきり言わないと姉さんには効かない
『イルミ』
「…」
荷物を下ろして抱きしめてくる姉さん
ずるい
姉さんはオレの頭を撫で、髪を手ですきながら話す
『姉さん我儘でイルミに心配かけちゃってごめんね。』
「…本当にずるいよね。針刺してコントロールしたいくらい嫌なんだけど」
『あはは!私の方がちょっぴり強いから針させないよ』
笑顔で傷つくことを言うんだよな姉さんって
確かに姉さんのほうが強いんだけどさ
『私のことを心配して、止めようとするなら、私よりも強くなくちゃね』
「すぐ連れ戻しにいくから」
そして姉さんに条件として毎日連絡入れることと定期的に帰ってくることを伝える
わかった!と元気よく言って俺の頬にキスをする姉さん
『じゃあまたね!』
お母様にお稽古の日には帰ってくるって伝えといて〜と手を振った姉さん
俺も大概甘いんだよな、強くならなきゃ姉さんの我儘は止められない
早く、姉さんの隣に一歩でも先を歩けるようにしないと
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作者名:ふぇもふぁ | 作成日時:2020年5月18日 20時