King of Curience【オリジナル】 (ページ26)

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2,Quo perculsus ページ26

「失礼、今我が軍はグランディアニスへ急いでいます。挨拶ならば後の機会にまた」

バーバルが高笑いする。

「ハハハッ!!!言葉の通り失礼な人ですね。あまり楯突くようですと我が国王が黙っていませんよ──」

その時、国王らしき少年が前へ出た。

「そこまでにしておけ、バーバル」

少年がそう言い放つと、バーバルは大人しくなった。

「へ、陛下。申し訳ございません・・・」

少年が此方を見る。

俺の目を見つめる。

心臓が止まりそうになる。

実際、一瞬止まったのかもしれない。

息が上手く出来ない。

「どうしたぁ？固まっちまって」

燃えるような橙の髪の少年が、皮肉そうにそう言った。

視界が、時間が、空間が、止まる。

微かに開いた口が閉じない。

「な・・・・・なつ・・・・・・・・」

「そりゃあ驚くよなぁ、地球─東京に居る筈の親友が、こんな所に居るんだもんな。

なぁ？悠」

何故。

何故あいつが此処に。

だってあいつは、あいつは・・・

「・・・な、夏樹・・・・・・・？」

「ハハハハッ、驚いて声も出ねぇか。良いぜ、その表情。久し振りに見るツラだなぁ・・・」

俺の驚いた顔を舐め回すように見て、また言った。

「どうしてって言いたいんだろ。・・・まぁ、親友のよしみだ、教えてやるよ。

俺が、ハイデラの国王だからだ」

全身に電流が走るような感覚。

ハイデラって、敵国じゃないか。

「何でっ・・・俺のこと、騙してたのか!?」

「騙してたぁ？オイオイ、人聞き悪いなぁ。

騙される方が悪いんだろ？」

頭の中を必死に整理しても、追い付かない。

「お前の知ってる『渡瀬悠の親友の天ヶ先夏樹』よりも先に、『ハイデラ古代王国第89代国王』の方が産まれてた、って訳だ。残念だったなぁ」

「今までの、全部が、嘘・・・？」

「その通りだよ、分かってんじゃねえか」

『その通りだよ』

その言葉が、重く、重く、心に容赦なく打撃を加える。

ガラスが粉々に砕けるような感覚。

思い出は、徐々に色彩を失っていった。

まるで、色褪せた白黒写真のように。