King of Curience【オリジナル】 (ページ21)

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4,alda ページ21

血。赤黒く、池のようにそれは広がっていた。

傍らには、男の死体。

「うぐぇっ・・・」

思わず吐き気がするような光景だった。

数週間前まで平凡な暮らしをしていた俺には、余りにも刺激が強すぎたのだ。

「陛下、休まれますか」

「だ、大丈夫。それより、人質の人達を探さないと」

再び足を動かすも、身体が先刻より重い。

「不穏な魔力を感じます」

口を開いたのは、ウォーレンスだった。

ウォーレンスは、入り口と反対方向を見つめて、また言った。

「先を急ぎましょう。この先に賊が居る筈です」

───────────────

男の死体の横を通り、崩れかけの螺旋階段を登った。

血生臭いにおいが鼻につく。

8分ほど螺旋階段を登り、塔の最上階に辿り着いた。

そこにはやはり、賊らしき男達と、人質の女子供が居た。

女子供は紐で手足を縛られ、猿轡で口が利けないようになっていた。

男達は、そのフロアの祭壇のような場所の前に屯していた。

剣の手入れをする者、賭け事で遊ぶ者、集団で話し込む者達。

皆、腰に剣やら斧やら提げていて、防具を身に纏っていた。

「おい、まずい」

「侵入者だ!!全員殺せ!!」

賊が俺達に気付いた。

戦いの火蓋が切って落とされる。

派遣隊と賊が激しい戦いを繰り広げる中、俺は剣と剣がぶつかるのを見ながら、何をしていいのか分からず茫然と立ち尽くしていた。

その刹那、右から斧が飛んできた。

「陛下!!!!」

間にマリウスが入り、間一髪の所で斧が跳ね返される。

「あっ・・・マリウス、大丈夫!?」

「私は平気です。陛下は、お怪我はございませんか」

「怪我は・・・無いよ・・・ただ・・・」

目の前の光景を見る。

飛び交う血。それこそ派遣隊が優勢で、此方の怪我人は出なかったものの、賊は重症だった。

軽い怪我から死人まで、眼前で横たわっているのだ。

呻き声。

「痛い」「助けて」「悪かった」などのかすれた言葉。

正直心が傷んだ。

怪我が深く、多量出血している者もいた。

「陛下・・・やはり、先に戻られますか」

マリウスの言葉を聞く前に、既に俺は駆け出していた。

「陛下!!」

呼び止める間もなく、螺旋階段を駆け降り、塔から脱出。

その場でがくりと膝を折り、嘔吐いた。

「おぇっ、げほっ、げほっ・・・」

「陛下」

後方から呼ぶ声。マリウスが後を追って降りてきたようだ。