King of Curience【オリジナル】 (ページ13)

今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:4,276 hit

10.dux scriptor ページ13

「あ、はい」

「はいじゃなくてうんでいいんですよ陛下。まだこっちに慣れてないから仕方がないけれど、当然のことですよ」

「う、うん」

そう言われ、頑張って明らかに目上っぽい人にため口を利いてみたが、違和感がすごい。

「そうそう、そんな感じ。さっきのままの感じだと、延々と同じこと言われますからね」

それは嫌だし、俺が煽てられているような感じも嫌だ。じゃあ―――

「あ、イグニスも敬語無しにして下さい。そしたらこっちもなくします」

その言葉を聞いて、イグニスは「やれやれ」というと、さっきの堅い表情とは一変して、少年のような表情になった。

「仕方のない王様だ。まったく、何処のだれが教育したんだか」

「庶民出身なんだから、仕方ないだろ」

やっと息を吸えるような、肩の力が抜けるような。

友達みたいな立場の人が出来て、俺は内心舞いあがっていた。

「じゃあ、仕切り直しだ。案内を続けるぞ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

宮殿の案内は三時間以上続いた。

それでも一生懸命聞き入ってた俺は、すでにへとへとだった。

「これで一通りの案内は終了だ。質問は？」

「ないよ。あ、でも―――」

ふと思ったことを口にしてみた。

「でも？」

「外に出てみたいな。あんまり大理石ばっか踏んでるから疲れちゃった」

外が気になる。さっきから、人々の声が聞こえてきて、賑やかそうで内心うずうずしていた。

「・・・まぁ、いいだろう。その代わり、約束だ」イグニスの顔が近付く。

「何？」返す俺。

「俺から絶っっ対離れるなよ。いいな？」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「うおお・・・すごいな、今日は何かの祭り？」

城下町トゥルカは住民で賑わっていた。

広い道の両脇に、日本の出店や屋台みたいなカラフルなテントが張ってあり、人はそれらに集まっていた。

「今日は週一で開かれるトゥルカの市なんだ。いろんな店があるから、見に行くか」

「うん！」

俺は目を輝かせて頷いた。