Be My Last (ページ4)

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おっつん、と呼ばれた男は振り返りつつ反論した。

「人聞きの悪い…こちらのレディが足を痛めてたから、エスコートしてただけですよ」

どうだか、とサングラスをかけた男が手に持ったシャンパングラスを傾けながらつぶやく。

「兄者、マジっぽいよ。俺も手を貸しましょうか？」

サングラスのとなりにいた男は、わたしのかかとを見て手を差し伸べてきた。
サングラスもこの人も、まるで警備員のように随分大柄だ。

「あーたたち、無闇に近づかないでよね。ただでさえ無駄にでかくて怖いんだから」

「…！」

差し伸べられた手を見てはっと気付く。
人差し指の第一関節にタコができていた。
銃を頻繁に使う者は、トリガーを引く人差し指にいわゆる"ガンタコ"ができる。

銃を使う男、そして3人組…。
接触するほかない、強く感じた。

「ええ…かかとが痛くて。上のロビーまで支えていただけますか？
ついでに、よかったらお茶でも」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

乙「僕は乙一。こっちのでかいの①は弟者。でかいの②は兄者」

弟「よろしく！」

兄「どうも」

「わたしはAです。よろしくお願いします」

乙一さんが大変乗り気で、3人と席に落ち着くことができた。
弟者さんはどこからか頼んできた料理をガツガツと食べ、兄者さんはそれを横目にウイスキーのロックをちびちび飲んでいる。

見たところ、兄者さんはすこしイライラしているようだ。

「ごめんなさい、何かご用がありました？無理やり誘ってしまって…」

乙「いーのいーの！こいつ今日のお目当逃したから機嫌悪いのよ」

兄「おっつん、うるさい」

弟「俺ら会いたい人がいたんですけど、結局来ないらしくて」

兄「あんたこそ、お相手がいるんじゃないのか？」

「ええ…でも知人はまだ来ていないようでして、待っているんです」

乙「じゃあゆっくりしてよう！Aちゃん、年齢いくつ？さすがに僕らよりは年下だよね」

弟「えー？俺よりは年上じゃない？」

「ふふ、それは秘密です」

絶えず会話を続け、3人を観察する。
目線、会話の反応、利き手、アザや傷跡…それらしきものは弟者さんの手の甲にすこし見えるアザと先ほどのガンタコのみ。
しかしそれだけで確定はできない。

ふと、兄者さんと目線が合う。すぐ逸らしたが、鋭い視線がわたしを貫く。

兄「なんか探してるのか？」

「え？」

ひやり、文字の通り、冷たい汗が背中を伝うのを感じた。