Be My Last (ページ14)

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乙「準備は？」

乙一の掛け声に、兄弟が応答する。

弟「いやー、意外とばれないもんだね」

兄「そうやって気抜いてやられんなよ」

いつものように軽口を叩く。
滑り出しは上々、と乙一は安心した。

作戦はこうだ。
警備員に変装した兄弟を主軸として、乙一が外から司令塔となり指示を出す。
2人の位置は発信機で把握、恵比寿は監視カメラと兄弟の見張りで把握。

下手に3人出てその場の対応しかできない状況は避けたかった。あくまで慎重に、というのが要である。

弟「会場にはいないみたいだけど…ターゲットはまだ？」

乙「さっき高層階のスイートから出てきたからもうそろそろかな。もちろん強そうな側近付き」

兄「だろうな…やっぱ終わって出てきたところを狙撃のが良かったんじゃね？」

乙「いや～、影武者用意してるらしいからさ」

無駄な殺生は避けたいよね、と言った瞬間。
奥の大きなドアにスポットライトが当たる。いよいよ思い焦がれた目当てのおでましだ。

と同時に、監視カメラには多くの黒服が広間の外を囲むのが写った。

乙「お2人さん、なかなか出るのが大変そうだよ…表の出口も相当な数で固められてる」

兄「なるほど、まあタダじゃ帰してくれないよな」

弟「一旦様子見？」

乙「そうね…まだ始まったばかりだ」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

弟「や～…まいったね」

あれから数刻、いまだ恵比寿の周りは人だかりであふれている。

恵比寿は、業界ではかなり大手と聞いている。
身内だけのパーティーと聞いていたが、随分人が集まっている。
有力者だから当前なのだが、ひっきりなしに客とボディーガードに囲まれているため、襲撃の隙がないのだ。

2broは狙ったターゲットしか殺さない。罪なき人を殺すのは信条に合わない。それを知ってのことか…乙一は唸った。

兄「奴が抜けるタイミングで俺らも出るしかないな…会場の外はどうなってる？」

乙「出入り自体は自由だから、さっきより人通りも多いよ」

兄「OK、機を見て行く。弟者、合わせて行くぞ」

弟「了解」

乙「慎重にね」

確かに自分で催しただけのことはある。警備員もかなり揃えているし、いつでも側近に傍をがっちり固めさせ、隙を出さない。
それでも負けるわけにいかない。

華やかな空間の中、3人だけが抱える緊迫。その時は刻一刻と近づいていった。