決意 ページ41
やはり時が過ぎるのは早い。特にこの2日間はあっという間だった。
そろそろ、お暇しなければならない時間になってしまったのだ。
「うぅ、帰りたくない……学校も行きたくない……」
「はいはい、ほらおいで」
と言って屯さんは私に向かって両手を広げてくれた。今は子ども扱いされてても嫌じゃない。私は静かに彼に体重を預けた。
「またいつでも来てな」
「うん……今度は私のおうちでもいいよ？」
「ははは、せやな。あそこなら会社近いし通勤楽やもんなぁ…………はぁ」
「流石社畜」
「好きで社畜やっとらんわ」
彼と少し距離をとった瞬間すっと温もりが消え、また寂しさがじわじわとどこかから滲んできたような気がした。
「2日間、お世話になりました」
「こちらこそ、お客さんやのに弁当作ってくれてありがとな」
「またお店来てね」
「うん。グルッペン辺りと邪魔するわ」
駅まで送る、と言われたけど、余計寂しくなりそうだったからそれはお断りした。
少し重たい荷物を持ち、最後におでこにキスしてもらい、屯さんに手を振られる中ドアを閉めた。
溢れそうな涙を堪え、後ろは振り返らずに、帰路をぐんぐん進んだ。
決めた。いっぱいバイトして、屯さんと一緒に住むための引っ越し資金を貯めよう。いつになるかは分かんないけど、きっと……必ず、その夢を叶えるために。
・
tn視点
Aさんを見送り、無慈悲にも閉められたドアの前で立ち尽くしてもうた。
さっきまでの明るさはどこへ行ったのやら、リビングも、洗面所も、寝室も、家中全てしんと静まり返っとった。
彼女が来る前とさほど変わらない……いや、寧ろ少し綺麗になった部屋。少しくらい来た痕跡を残してくれれば、何かこの気持ちが変わっとったんちゃうか、と思う。
……いや、多分もっと寂しくなっとっただけやな。あの娘のことやからきっとそれを見越してこうしてくれたんやろう。
大の大人がうだうだ言っとってもしゃーない。そう思った俺はデスクの前に座ってパソコンの電源を入れた。
Aさんはこのあと授業受けてバイトって言うてたから、俺も頑張らな。
……うん。そうしよ。やっぱり大人でも寂しいもんは寂しいから、こんな思いせんでも済むように一緒に住もう。
まずは資金集めやな。社畜魂で仕事バリバリやって貯金しよう。Aさんが出さんでも十分足りるくらい。
それが叶ったら、結婚しよう。
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おぼろどうふ(プロフ) - 3回目（笑）失礼します。まだ数話しか投稿されてない時から追ってましたがもう終始好きでした。完結おめでとうございます！新作も楽しみにしてますね(^^) (2021年2月19日 9時) (
レス) id: 464a1b954d (このIDを非表示/違反報告)
ウィング(プロフ) - おぼろどうふさん» 2回もコメントしていただきありがとうございます！不器用でちょっと奥手な可愛いカップルを目指して書いてるのですごく嬉しいです^^ 更新頑張ります！ (2021年2月15日 0時) (レス) id: 6d010e161a (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - 自分すぐ濡場に持っていきたがるのでこういう甘酸っぱいの滅茶苦茶好き…、1話投稿される度にニヤニヤしてます。更新頑張ってください (2021年2月14日 23時) (レス) id: 464a1b954d (このIDを非表示/違反報告)
ウィング(プロフ) - おぼろどうふさん» ありがとうございます〜！そのコメントがめっちゃ好きです……(*^^*) (2021年1月31日 14時) (レス) id: 6d010e161a (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - めっちゃ好き。お弁当から始まる恋愛とか好きじゃん… (2021年1月31日 14時) (レス) id: 464a1b954d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ウィング | 作成日時：2021年1月1日 4時
